歌舞伎俳優・尾上右近(32)が18日都内で自主公演、第9回「研の會」の取材会を行った。

 今年は成長株の親友、中村種之助(32)とのタッグで「盲目の弟」、舞踊「弥生の花浅草祭」を上演。

「彼の踊りは信じられる」と種之助に信頼を寄せる。この日改めて「次がラスト」と来年の第10回目での終了を強調した。

 約40年ぶりの再演となる「盲目の弟」は、6代目尾上菊五郎が出演したものが初演(1930年)とされ、82年に松本白鸚、中村吉右衛門が兄弟を演じて以来の上演。今回は右近が兄、種之助が弟を演じる。「兄が吹いた矢が弟の目にあたって失明させてしまうという悲劇的な話ですが、演出面でも自分の考えを取り入れられれば」。

 また今作には尾上松也の妹で先日、第一子を出産したばかりの女優・春本由香も出演。「松也さんに何か恩返ししたい気持ちもあった。彼女は高校の同級生で幼なじみ。『出てもらえる?』と赤ちゃんが生まれる直前に電話して了承してもらえた」と説明した。

 自主公演を続けるには膨大な経費がかかる。しかし、懸命に続けてきただけあり、知名度、動員も増し、成果は顕著。近年の歌舞伎座でも大役起用が目立つ。

「お祭りの男のぼくが、自主公演では今やりたいことを全力でやってきた。でもすべて自腹です。とにかく助けてください」切実な現状にも触れていた。公演は大阪・国立文楽劇場(7月11、12日)、東京・浅草公会堂(同15、16日)。

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