夏の甲子園切符を懸けた第107回全国高校野球選手権静岡大会は6月29日に開会式が行われ、7月5日から熱戦が始まる。しずおか報知では「ラストアオハル」と題し、シード16校を中心に話題校を随時紹介します。
静清の“ドクターK”の最後の夏が始まる。「プロ野球選手を目指しているからには同じ左投手には負けられない」。内藤がきっぱりと言い切った。甲子園に向けて勝ち進むのは当然だが、県内にひしめく好投手たちの姿も思い描いた。
昨秋の県大会を制してセンバツに出場した常葉大菊川・大村昂輝(3年)や、春の県王者・聖隷クリストファーの高部陸(2年)は、同じエース左腕としてチームを頂点に導いた。内藤も負けていない。衝撃の一戦は、3月29日、焼津中央との春季県大会予選代表決定戦。難敵・藤枝明誠を破って勝ち上がった相手から8回までに19三振を奪い、1安打でシャットアウトだ。続く静岡との上位決定戦では、自己最速を6キロ更新する145キロをマークした。
すでにNPB9球団が視察に訪れており、社会人のヤマハで指揮を執った経験のある長田仁志監督(72)が比較したのは、同校OBのDeNA・石田裕太郎投手(23)。
ただ、課題が見つかった春でもあった。日大三島との県大会2回戦は4回4失点で降板した。直球にキレを欠いた時、いかに変化球を織り交ぜるかという組み立てや、フォームも「不調になるとリリースポイントに意識がいき、下半身との連動性がなくなっていた」と修正箇所を挙げた。
入学時に身長が180センチを超えていた逸材には、県外の強豪校からも声がかかっていた。しかし、脳裏にあったのは22年夏、静清が県大会で準優勝した戦いぶり。「ここでなら甲子園に行けるのでは」と決断した。1年秋からエースを託されたが、昨夏はまさかの初戦敗退。「秋、春も今まで自分で負けてしまっている。夏は勝てるピッチングをしていかないと」。ライバルたちと投げ合い、勝ち抜くことしか頭にはない。
◆内藤 優央(ないとう・まお)2007年8月14日、浜松市生まれ。17歳。赤佐小2年の頃に赤佐ヤングスで野球を始め、浜北北部中在学時は浜松北ボーイズでプレー。185センチ、78キロ。左投左打。家族は両親、弟、妹。血液型はA。
〇…太田俊太朗主将(3年)は、チーム目標が「決勝まで行くこと」と明かした。長田監督に言われたものだという。指揮官と宮下雄太部長(31)体制での最高成績が「決勝」。「甲子園」ではない意図を選手で考え、太田主将は「監督についていけば決勝までは行けるけど、優勝するのは自分たちの力次第というメッセージ」として受け取り、レベルアップの励みにしている。