◇68年9月18日=第2試合(甲子園)
現役時代の長嶋茂雄さんは、抜群の勝負強さでファンの記憶に刻まれる名場面を数多く残してきた。公式戦2186試合、日本シリーズ68試合の中から、ベースボール・アナリストの蛭間豊章記者が12試合のメモリアルゲームを厳選した。
阪神とのダブルヘッダー第1試合は辻佳紀捕にサヨナラ2ランを食らって敗れ、ゲーム差0となって迎えた第2試合。巨人が1回に先制、4回に3連打で4点を加えた。乱調のバッキーは2死二塁から王貞治に胸元に2球連続投げた。巨人ベンチからは荒川博打撃コーチが飛びだす。両軍ナインも集まり、マウンド上で乱闘が繰り広げられた。
バッキー、荒川が退場となったが、代わった2番手・権藤正利が王の頭にぶつけた。場内が騒然となる中、登場した長嶋。カウント3―1から35号3ランを左中間スタンドにたたき込んだ。いつもと違って両手を大きく振り上げ、なにやらわめきながらダイヤモンドを一周した。
8回にも36号2ランを放った長嶋は「こんちくしょう、と思っていた。この打席は何としても打ってやろうと思った」と怒りの一発だったことを、試合後まくし立てた。この試合に勝って、再び1ゲーム差をつけた巨人はその後、1度も首位を譲ることなくリーグ4連覇を決めた。
◇68年9月18日=第2試合(甲子園)
巨人
100 700 020 10
000 101 000 2
阪神
【本】長嶋35号3ラン、36号2ラン(巨)、カークランド36号、本屋敷3号(以上神)