「ミスタープロ野球」長嶋茂雄さんが愛した「うめちゃん餃子」を作り続けている梅田茂雄さんと、妻の多美子さんが3日、突然の別れを惜しんだ。

 梅田さんは、巨人が関西遠征時の定宿とする「ホテル竹園芦屋」で、長く料理長を務めた。

2009年に引退したが、そこで提供されていたのが「うめちゃん餃子」。長嶋さんは一皿7個入りを2回おかわりしたこともあったといい、「さすがに21個は胸焼けしたようで、それ以降は14個まででしたね」と笑う。19年に冷凍食品として「うめちゃん餃子」を復活。その際も長嶋さんに“試食”してもらい、太鼓判を押してもらった。「長嶋さんの家の冷凍庫にはうめちゃん餃子が常にストックされている状態でした。最近は3個ほどしか食べられないと聞いていたのですが…」と声のトーンを落とした。

 「うめちゃん」と呼んでくれたのも長嶋さんからだった。大学時代から長嶋さんのファンだったという梅田さんだが、長嶋さんとは「そんな話はできないよ。天気の話がお好きで、聞かれたら答える。そんな感じでしたね」と、見上げるような遠慮があったという。高気圧の時にはステーキを希望することが多かったと回顧。「肉は昼のみ、夜は魚。

そう決まっていましたね」と、ミスターの好みを明かした。

 一方、妻の多美子さんは、同ホテル創業家の娘だったこともあり、10歳の頃から長嶋さんと親交があった。「色々な賞をとった時に賞品をよく下さいました。大きなぬいぐるみやカメラ。ある時は野球のボードゲームをいただいて、長嶋さんと一緒にしたこともあるんです」。多美子さんとは芸術の話もよくしていたそうだ。「イタリアのシスティーナ礼拝堂のステンドグラスが美しいとか、絵画の話も。吉野の桜も見に行きたいとおっしゃっていましたね。野球だけじゃなく、本当に博識なんです」と、ほほ笑んだ。

 長嶋さんに取材の終了時間を知らせる役割も担っていた。「取材時間が20分なら、終わり頃に知らせに行って、ちょこんと横に座っていました。時間通りなら『たみちゃん、やったね!』っておっしゃって」と2人だけの合言葉があったことも明かした。

夫妻ともに長嶋さんの大ファン。「ミスターはミスター。本当に温かい方でした」としのんだ。

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