長嶋茂雄さんの訃報に、巨人OBでスポーツ報知評論家の堀内恒夫さん(77)が永遠の別れを悼んだ。

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 俺が1966年に巨人に入ってから、60年間の野球人生のすべてに長嶋さんが関わっているから、思い出すのが大変で、それを今、話さなければならないのはつらいけれど…。

 入団3年目、ミスターがグラブから指を出すんで三塁へけん制したら、ベースに入らないんだよ。で、「何してんだ、おめえは!」って怒るわけ。「サイン出したじゃないですか」と言ったら、「いや、頑張れと言っただけだ」って。その後、俺は2度と三塁へのけん制はしていない。

 三塁前のボテボテのゴロを俺が捕りに行ったら「どけー!」って。「俺も下手じゃないし、こっちの方が早いでしょ」には、こう来たね。「これが俺の見せ場なんだよ。おまえが来ちゃいけない!」

 公私ともに本当にお世話になった。73年のオフ、俺の結婚式の仲人をやってくれたのが長嶋さん。一度はOKしてくれていた川上(哲治)さんに断られた時に、二つ返事で受けてくれた。ただ主役は俺のはずなのに、取材も長嶋さんばかりだった。

 80年に俺が200勝を達成した時の監督もミスター。

後楽園でのヤクルト戦で、6回雨天コールドだった。あれが6月2日のこと。うれしい雨だったことを覚えているけれど、亡くなった6月3日も、雨。寂しい、切ない雨音だね。(スポーツ報知評論家・堀内恒夫)

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