ミスターとの「ON砲」でプロ野球史に大きな足跡を残した王貞治ソフトバンク球団会長(85)が3日、都内で取材に応じた。
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◆王さんに聞く
―今のお気持ちを。
「今朝、連絡をもらい、えっというのが最初の思い。苦しいリハビリも率先してやっていたし、野球をやっていた時もそうでしたけど、退くってことのない人生だったと思う。前向きで、我々もいつの間にか引き込まれてしまう人でした」
―思い出すことは。
「1年目(のキャンプ)で、長嶋さんと同じ部屋になって、私もどちらかっていうと鈍い人間ですから、今振り返るとずいぶん失礼なことをしてしまったと思う。寝相は悪いわ、いびきはかくわでね。だから1週間か10日で私は部屋替えをさせられた」
―どんな言葉をかけたいか。
「ありがとうございましたという言葉ですべて表せると思う。(プロ野球が)野球を好きな人たちだけの世界から、野球に関心がなかった人たちも『長嶋打ったのかな』というような時代になった。これは他の人にはできなかった」
―今の選手と比較して優れていたことは。
「やはり球際の強さ。体勢を崩されても泳いだ感じとかでも、不思議とバットの芯に乗って野手のいないところに飛んでいく。それで数多くの逆転打を打ったし、ヒーローにもなった。
―最も印象に残る場面は。
「僕は見てないんだけど、甲子園(68年9月の阪神戦)で(自分が)頭にデッドボール受けて病院に運ばれている間に(長嶋さんが)3ランを打ってくれた。そういう形で僕の悔しさを晴らしてくれたのが長嶋さんのすごさ。そういうことができる人だった」