◆米大リーグ マリナーズ1―5オリオールズ(3日、米ワシントン州シアトル=Tモバイルパーク)

 憧れのミスターにも届いたに違いない。オリオールズの菅野智之投手(35)が3日(日本時間4日)の敵地のマリナーズ戦で先発し、7回5安打1失点。

7回は空振り三振で締めると、マウンド上でほえた。4戦ぶりの5勝目も笑顔は少なかった。前日2日(同3日)、長嶋茂雄さんが肺炎のため死去。スマホのニュースで知り「言葉にならなかった。入団してからもすごく気にかけていただいて、会うたびに励ましの言葉をたくさんもらった。すごく残念です」と沈痛な表情を浮かべた。

 巨人の前監督で、オーナー付特別顧問の原辰徳氏(66)をおじに持つ右腕にとって、ミスターの存在は特別だった。「小さい頃から巨人でプレーしたい思いの中で、ずっと長嶋監督の野球を見ていた」と述懐。最後の対面は、日本最終年となった24年11月末に東京ドームで行われた巨人のファン感謝イベントだという。「日本のプロ野球のシンボルのような存在。プレーで魅せる本当にプロフェッショナルな選手であり、監督さんだった」。特別な思いを胸に、この日は快投で自らが球場のファンを魅了した。

 新人だった13年の宮崎キャンプで視察に訪れた長嶋さんに「想像していた以上。雰囲気に大物感が漂い、新人離れした落ち着きがある」と言わしめた菅野。強心臓ぶりは異国でも変わらず、直近9試合で6度目のクオリティースタート(QS=6回以上、自責3以内)と抜群の安定感だ。「今日こういう形で勝てたのは、チームにとっても大きい」。4連勝ながら借金13でア東地区最下位だが、35歳のオールドルーキーが希望の光となる。

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