◆日本生命セ・パ交流戦 2025 ロッテ2×―1巨人=延長10回=(5日・ZOZOマリン)

 集中力を研ぎ澄ました。吉川が意地のアーチを描いた。

1点を追う5回1死。2ボールから種市が投じた真ん中149キロ直球を鋭く振り抜いた。打球は右翼のホームランラグーンへ。チーム初安打となるソロで、試合を一時振り出しに戻した。しかし、チームは延長10回にサヨナラ負け。「明日勝てるように頑張ります。それしかない」と悔しさをかみしめながら絞り出した。

 魂の一撃だった。3日に長嶋茂雄さんが死去。阿部監督が「勝っていい報告をすることしかできないと選手には言った」と明かしたように、ナインは改めて13年ぶりの日本一を誓い合った。3日のロッテ戦は雨天中止となり、弔い星を届けようとチーム全員で意気込んでいた4日の同カードは敗戦。吉川自身は犠飛で打点を挙げていたものの、勝利に導けずに悔しさを募らせていた。

一夜明けての2打席目で5月24日のヤクルト戦(東京D)以来、8試合ぶりの今季3号をたたき込んだ。

 今季2度目、ワーストタイの4連敗で首位とは4・5差と踏ん張り時を迎えている。若い選手が多い現状で、経験豊富な吉川にかかる期待は大きい。「勝てるように。いい準備をしてチーム一丸となってやっていくしかない」。2月に30歳となり、リーダーとしての自覚もより一層強くなった男が走攻守でけん引していく。(宮内 孝太)

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