◆米大リーグ ドジャース1―6メッツ(4日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)
MLBで来季から「ロボット審判」こと自動ボール/ストライク判定システム(ABS=Automated Ball―Strike Challenge System)が導入される見通しと4日(日本時間5日)、複数の米メディアが報じた。ドジャースの大谷翔平投手(30)は本拠メッツ戦に「1番・DH」で出場。
大谷の目が点になるシーンは、今季でお別れかもしれない。3点を追う5回2死一塁。カウント3―1からの5球目、外角スライダーを自信を持って見送り一塁に歩き始めた。だが、判定はストライク。怒りをグッとこらえ、小さく2度ジャンプした。続く6球目の内角チェンジアップで見逃し三振。微妙な判定に本拠はブーイングに包まれた。
5球目の外角球は、MLB公式サイトの配球チャートではストライクゾーンをかすってさえいない完全なボール球。6球目はストライクに入っていたが、大谷の目に狂いはなく、本来なら四球で一、二塁と好機が広がっていた。
そんな大谷に朗報が舞い込んだ。
ロボット審判について、2月には「やってみて打者目線からと投手目線から実感できると思うので、どういうふうに感じるのかっていうのも楽しみにはしてます」と二刀流ならではの視点で語っていた。リーグを代表する打者の大谷は、際どいコースで攻められることが多い。これまでもボール気味の球のストライク判定に表情を曇らせることがあった。来季からは正確なジャッジが下されることになり、打者としてはもちろん、投手・大谷としても心強い存在になるだろう。
この日は判定に泣かされながら今季20度目のマルチ安打をマークした。大谷はボール球に手を出すようになると、打撃の状態が下降する傾向にある。微妙な判定一つで調子が傾く可能性があるだけに、ロボット審判の導入は追い風となりそうだ。(安藤 宏太)
◆ロボット審判
▽導入契機 19年12月にMLBと審判員協会が労使協定を締結した際に開発に合意。
▽機器 弾道測定機器「トラックマン」で測定し、高速でデータ処理する。
▽チャレンジ行使権 両チーム2回の権利を持ち、打者、捕手、投手が要求できる。ベンチからはできない。
▽“勝率” 今春のメジャーのオープン戦288試合で1182回チャレンジがあり、617回で成功。成功率は52・2%で、打者50%。捕手56%、投手41%。守備側合算は54%。
▽導入リーグ 19年に独立リーグのアトランティックリーグで試験導入。3Aは21年に試験導入され、公式戦で利用中。韓国は24年に導入済み。米国と異なり、球審は無線で伝えられた判定の発表役で自身は判定しない。