◆東京六大学野球春季リーグ戦 新人戦▽慶大7x-6早大(6日・神宮)
慶大がサヨナラで早大を下し、4季連続のVに王手をかけた。6-6で迎えた9回2死二塁、途中出場の一宮知樹外野手(1年=八千代松陰)が右前に劇打を放ち、死闘に終止符を打った。
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春季リーグ戦最終週の早慶戦では早大に2連敗し、5位に甘んじた慶大。悔しさを晴らすかのように、新人戦では下級生たちが奮闘した。その主力メンバーが2023年夏の甲子園で107年ぶりの全国制覇を成し遂げた、慶応高のV戦士たちだ。
とにかく明るい。ベンチからは常にポジティブなメッセージが発信され、劣勢でも「想定内だから!」との声が飛ぶ。終盤、じわじわと点差を詰め、気づいたらペースを握っている。スタンドの熱烈な「口ラッパ応援」(他の加盟校5校のオリジナル応援歌でもナインを鼓舞)でグラウンドと一体化し、士気が高まる。早慶戦で4番を打った左の強打者・中塚遥翔(2年=智弁和歌山)はこの日、まさかのボールボーイを務め、至近距離から仲間たちの健闘を見守った。
秋に向けて期待したいのは、2023年夏の甲子園で「ゴーグルスラッガー」の異名を誇り、優勝の原動力になった延末藍太内野手(2年=慶応)の打棒だ。2点を追う6回1死一塁では、反撃ののろしを上げる左翼線三塁打。7回にも1死一塁からセンターへの二塁打で、一挙5点のビッグイニングに貢献した。
18日には明大との決勝戦。誰よりも負けず嫌いの、勝ちに飢えた男たちが見せる、熱き戦いに注目したい。(加藤 弘士)