◆日本生命セ・パ交流戦 2025 巨人2―1西武(20日・東京ドーム)

 小林の打球が外野のヒットゾーンに落ちると、阿部監督は笑顔で手をたたいた。今季初スタメンに抜てきすると、5投手を1失点と好リードし、打っても決勝打。

「(スタンドも)盛り上がったね。当たりはどうあれ、勝利打点だからね。たまにああやってスタメンで出て、こうやってできるんだからね。素晴らしい、頼もしいなと思って見てました」と感嘆した。

 決断は早かった。「先週だったかな。おとといか、そのぐらいかな」。13日のオリックス戦で、5回から3イニング組んだ赤星との先発バッテリーを決断。赤星が今季12試合中11試合で組んでいた甲斐は、体調不良明けの10日以降、先発試合で勝てず、捕手として悔しい結果が続いていた。捕手の苦しさを知る阿部監督は「みんなが甲斐をいじめるからさ。大量失点になるとかさ。そういう時もあるんだよ、キャッチャーは」と思いやりつつ、流れを変えようと小林に託した。

 現在1軍は捕手4人制で、岸田や大城卓もいる中で経験豊富な背番号22を抜てき。勝負どころや状況が苦しい時、ベテランの経験値を重要視する指揮官の采配が的中し、交流戦6カード目で初めて初戦を勝った。

 「いるメンバーでやらなくちゃいけない。和真の穴は、誰にも埋められないんだけど、いるメンバーでなんとかしのいで、今日みたいな、勝つなら2―1! これしかない!」。ロースコアで守り勝つ。小林を中心に今の勝ち方を体現した一戦だった。(田中 哲)

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