◆日本生命セ・パ交流戦 2025 巨人5―2西武(21日・東京ドーム)

 大歓声と万雷の拍手がはい上がってきた男を祝福した。本拠地・東京Dで初めてのお立ち台に上がった4年目の岡田悠希外野手(25)は「初めまして、今日からジャイアンツの一員になりました岡田です。

どんどんチームに貢献して、岡田悠希っていう選手を覚えてもらえるように頑張ります」と、4万人超の観客を笑わせた。

 右下手投げの西武・与座対策で左打者を8人並べた打線。「6番・右翼」で1軍昇格即スタメン起用に結果で応えた。2点を追う7回1死一、二塁。初球だった。甲斐野の外寄りの157キロ直球を完璧に捉えた打球は左中間で弾んだ。重苦しい雰囲気を一掃する同点2点適時二塁打。「いつもやってやろうという気持ちで臨みすぎて空回りするんで。気持ちを抑えつつ、ファームでやってきたことと同じようにやろう」。自分に言い聞かせるように、静かに闘志を燃やして打席に入った。自身2年ぶりの二塁打と打点を記録し、ベンチに向かって両手を突き上げた。

 今季は4月18日に1軍登録されたが、5試合に出場し7打数1安打。

同27日に登録抹消された。2軍ではここまで47試合に出場し、打率2割9分2厘、4本塁打と結果を残し、吉報を待ち続けた。「ここ(2軍)でやることはやった。2軍で(何かを)やっていきますみたいなのは、1年目からずっと言っていて記者の方も飽きたと思う。次は1軍で結果を残してコメントを言えるように」。Gタウンでの試合後も黙々とバットを振り込み、有言実行の活躍につなげた。

 チャンスは突然訪れた。前日20日の朝、2軍のナイターに備えて新潟へ移動。現地で昼食を取った後に昇格の連絡を受けた。「ご飯食べに行ったっす。とんぼ返りして新幹線乗っただけ。めっちゃ長かったけど、いろんな景色見ながら、どうやって打とうかなとかいろいろ考えた」。

往復4時間超えの旅路で、1軍での活躍に思いをはせた。

 ファンの心に確実に「岡田悠希」の名は刻まれた。「僕ね、インタビューで普通のことを言えないタイプなんですよ。結果出すまでは我慢で。テングになるとかではなくて、僕の良さがもっと出るじゃないですか」と、“この日”を待ってきた背番号38。「今まで打ってなさすぎるんで、ここからどんどん打っていけるように」。次なる活躍を見据え、バットを持って練習へ向かった。(加藤 翔平)

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