◆JERA セ・リーグ 巨人4―0DeNA(27日・東京ドーム)

 甲斐が伊織らしさを存分に引き出したね。右打者にはシュート、左にはフォークを軸にうまく攻めた。

カットボール系は浮いていたけど、DeNAが捉えきれなかったのは、シュートとフォークへの意識が強かったからに他ならない。中でも初回2死二塁、4番・牧を投飛に打ち取ったシュート。この1球は相手打線に相当、インパクトを与えた。だからカットが甘くなっても相手は打ち損じていたんだ。

 そして1点リードの7回1死一、二塁。梶原を三振に仕留めた場面でもリードが光った。超積極的な梶原の性格を読み、初球はボール気味のフォークでファウル。2球目は厳しい懐への真っすぐで空振り、そして高めの釣り球で3球三振だった。1死から2四球を与え、投手が弱気になっても不思議ではない局面で伊織を奮い立たせるような配球。「甲斐が投げ込ませた」と言える真っすぐだった。

 1点リードの8回1死一塁での二盗阻止も本当に大きかったね。大勢のアクシデントでバタバタして、不穏な空気が漂い始めたところで本当に大きな1アウトになった。

7投手での完封勝ちは「甲斐で勝った」と言える。交流戦ではスタメンマスクの日に勝てずに苦しんだけど、リーグ再開初戦、いい仕切り直しの日になったはずだよ。(スポーツ報知評論家・宮本 和知)

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