◆JERA セ・リーグ 巨人4―0DeNA(27日・東京ドーム)

 巨人・オコエ瑠偉外野手(27)が躍動感たっぷりに駆け回った。両チーム無得点の6回1死。

カウント2―2から浮いてきた球を逃さない。ケイの真ん中高め143キロカットボールを魚雷(トルピード)バットで捉えた打球は中堅フェンスに直撃した。大きなストライドで加速していき、三塁にヘッドスライディング。「流れを持ってこれて良かったです」。突破口を開く三塁打を放ち、左手を誇らしげに突き上げた。

 快足を生かし続けた。続く、泉口の定位置付近の左犠飛で本塁へ生還。ナインから手荒い祝福を受けると、笑みがこぼれた。直前に一塁走者の丸が盗塁死する嫌な流れを振り払ってもぎ取った決勝点。阿部監督は「その前にちょっとこちらのミスもあったので。だけどよく打ってくれましたね」とオコエと泉口の働きに目尻を下げた。

 新たな“相棒”を手にして、結果を残した。

この日はボウリングのピンのように中央部分が太く、先端がやや細くなっているトルピードバットを使用。これまで、8日の楽天戦(東京D)で若林のトルピードバットを借りて使ったことはあったが、自身用に調整した“マイ魚雷バット”で打席に入ったのは初めてだった。「練習で使ってみたらインコースが振り抜きやすいなと感じたので試合で使ってみようと思った」。芯が従来のものより手元側にあり、操作がしやすいとされるバットでシャープにスイングして、マルチ安打。好感触をつかみ、「今後はピッチャーのデータを見ながら使いたい」と投手に応じて使い分けていくつもりだ。

 15日のオリックス戦(京セラD)以来となる2番起用に、2安打1四球の3出塁で応えた。4日に1軍再昇格後は47打数16安打、打率3割4分と好調を維持。「いいアプローチができているので継続したい」。勢いそのままにシーズンを駆け抜ける。(宮内 孝太)

 ◆宮本和知Point

 オコエの魅力は長打力と足。その両方が貴重な先制点につながったね。そしてこの6回、「いいな」と思ったのは2つの盗塁死。

アウトになって何がいいんだって? DeNA先発のケイはクイックが苦手。隙をついて、何とか点を取ろうという姿勢が見えたからなんだ。得点力に課題がある中で、阿部監督が言うように「何が何でも」点を取ってやろう、というガムシャラさが感じられた。動けない、動かないイメージが強かったけど、新しい攻撃が見られそうだね。(スポーツ報知評論家・宮本 和知)

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