◆JERAセ・リーグ 中日3―2広島(27日・バンテリンドーム)

 新戦力が輝いた。金銭トレードで西武から加入した中日・佐藤が勝ち越し打を放った。

2―2の3回2死一、二塁。フルカウントから広島の先発・森下の149キロ直球を打ち返した。一、二塁間を破る右前適時打。「いいところで(打順が)来たので、気合をいれて打席に入った」と執念の決勝打に一塁ベース上で、何度も手をたたいた。

 プロ7年目。5年間で3度のトレードを経験し、3球団目となる新天地で、覚悟を強めた。入団会見を行った17日のオリックス戦(バンテリンD)。即スタメンで移籍後初打席。「記憶にない」と一心不乱に放った中犠飛で、初打点を挙げた。首脳陣は「どっしりとしている」とうなずいたが、“兄貴”だけは見抜いていた。「珍しいよな、お前があんだけ震えてたの」と笑ったのは、西武時代から兄のように慕い、自主トレも共にするオリックス・森だった。

 21年に日本ハムに移籍した時の初打席は「ここまで震えてなかった」と佐藤。

試合でもお立ち台でも、緊張には強いタイプだが、昨年10月以来の1軍戦は違った。「会見した日に、スタメンで。ビビるぐらい手足が震えて、無理かもって思った」と本音を漏らした。

 深呼吸しても収まらない手の震えに気づいていた森からの激励もあり、幕を開けた中日・佐藤龍世のプロ人生。この日は、移籍後初めてのお立ち台に上がり、大歓声を浴びた。「結果を出してこそ、チームに溶け込める。(戦力として)求められて来たので、結果にこだわって頑張っていきたい」と背筋を伸ばした新兵器が、井上竜逆襲へのピースとなる。(森下 知玲)

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