今年のメジャーの試合を見ていると、昨季クローザーを任されていた投手の不振が目に付く。最多の49セーブを挙げたヘルスリー(カージナルス)はセーブ失敗が昨年は4度だが、今季は早くも5度で防御率は2・04から3・54に。

3年連続40セーブ(昨季は47)以上と安定していたクラセ(ガーディアンズ)も、セーブ失敗は早くも昨年と同じ3度。0・61と抜群だった防御率は3・38まで落ちている。昨季パドレスで36セーブを挙げた元阪神のスアレスは、今季メジャートップタイの22セーブ。ただ、開幕から15セーブ連続成功の好スタートも5月12日エンゼルス戦、6月14日ダイヤモンドバックス戦と2度の1試合5失点があり防御率は2・77から3・51に落ち込んでいる。

 昨季のセーブ10傑投手(先発転向のメッツ・ホームズは除く)で防御率が良くなったのはフィネガン(ナショナルズ)とヘイダー(アストロズ)の2人だけ。もっともフィネガンはセーブ失敗が昨年と同じ5度もあり、実質的に成績アップは今季セーブ失敗0のヘイダーただ一人といえそうだ。

 極端に成績を落としているのは、ブレーブスで34セーブを挙げたイグレシアス。防御率は1・95から5・65。レッズで28セーブのディアスは、開幕早々抑えを外されて戦力外通告でドジャースに拾ってもらっている。タイガースで28セーブだったフォーリーは、マイナースタートの上、肩の手術で今季復帰は絶望となっている。

 従来よりも抑え投手に要求されるのが、速球で押すタイプ。そんな力任せのピッチングは、好成績を続けて残すことを難しくしているのかもしれない。

 それを考えるとカットボールというウィニングショットで通算652セーブを挙げたヤンキースの守護神マリアノ・リベラは、やはり唯一無二だ。通算防御率が2・21で、防御率3点台を超えたのは、実働19年間で、メジャー1年目の1995年と2007年の2度しかなかった。セーブの数以上に、安定した成績を長く続けたことが、2019年の満票での野球殿堂入りにつながったと私は思う。

 ちなみに通算601セーブのトレバー・ホフマンの通算防御率は2・87。通算400セーブ以上でリベラに次ぐ防御率は今年、野球殿堂入りが決まったビリー・ワグナーの2・31だ。なおクラセは、現時点で通算防御率1・84をキープしている。

 ※参考資料=ベースボール・リファレンス

 蛭間 豊章=ベースボールアナリスト

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