今年のメジャーの試合を見ていると、昨季クローザーを任されていた投手の不振が目に付く。最多の49セーブを挙げたヘルスリー(カージナルス)はセーブ失敗が昨年は4度だが、今季は早くも5度で防御率は2・04から3・54に。
昨季のセーブ10傑投手(先発転向のメッツ・ホームズは除く)で防御率が良くなったのはフィネガン(ナショナルズ)とヘイダー(アストロズ)の2人だけ。もっともフィネガンはセーブ失敗が昨年と同じ5度もあり、実質的に成績アップは今季セーブ失敗0のヘイダーただ一人といえそうだ。
極端に成績を落としているのは、ブレーブスで34セーブを挙げたイグレシアス。防御率は1・95から5・65。レッズで28セーブのディアスは、開幕早々抑えを外されて戦力外通告でドジャースに拾ってもらっている。タイガースで28セーブだったフォーリーは、マイナースタートの上、肩の手術で今季復帰は絶望となっている。
従来よりも抑え投手に要求されるのが、速球で押すタイプ。そんな力任せのピッチングは、好成績を続けて残すことを難しくしているのかもしれない。
それを考えるとカットボールというウィニングショットで通算652セーブを挙げたヤンキースの守護神マリアノ・リベラは、やはり唯一無二だ。通算防御率が2・21で、防御率3点台を超えたのは、実働19年間で、メジャー1年目の1995年と2007年の2度しかなかった。セーブの数以上に、安定した成績を長く続けたことが、2019年の満票での野球殿堂入りにつながったと私は思う。
ちなみに通算601セーブのトレバー・ホフマンの通算防御率は2・87。通算400セーブ以上でリベラに次ぐ防御率は今年、野球殿堂入りが決まったビリー・ワグナーの2・31だ。なおクラセは、現時点で通算防御率1・84をキープしている。
※参考資料=ベースボール・リファレンス
蛭間 豊章=ベースボールアナリスト