◆第107回全国高校野球選手権南北海道大会室蘭地区予選 ▽Cブロック2回戦 駒大苫小牧10―5北海道大谷室蘭(27日・とましん)

 室蘭地区では2007年以来、18年ぶり夏の甲子園出場を目指す駒大苫小牧が、今春敗れた道大谷室蘭に10―5で逆転勝利。左足首靱帯(じんたい)損傷から復帰したエース左腕・寺田七将(3年)が毎回の9回16奪三振、168球の完投でリベンジを果たした。

 同じ相手に連敗するわけにはいかない。名門・駒大苫小牧の「1」を背負う寺田が逆転を呼び込んだ。味方打線が一挙5得点で勝ち越した直後の9回。2死から16個目の三振を奪うと、この日一番の雄たけびで喜びを爆発させた。「9回投げ抜く力はある。どんな状況でも投げ抜こうと思っていた」。太もも裏が破れ、土で黒く汚れたユニホームが熱投を物語っていた。

 4月に左足首を負傷し、春季大会は全試合欠場。2―8で破れた道大谷室蘭戦はスタンドから声援を送っていた。「迷惑をかけた分、この夏に借りを返したかった」と、6月1日から投球練習を再開。リベンジを期す一戦で先発を託された。

 序盤は相手打線に捉えられる場面が多く、1点リードの2回は5安打を浴びて4失点。

4回には2死三塁から自身の暴投で追加点を許し、「気持ちで全部押し切ろうと修正した」。5回からは決め球のスライダーを低めに集め、気迫のこもった投球で5イニングを無安打投球。回を重ねるごとに安定感が増し、佐々木孝介監督(38)は「疲れていても投げれば良くなっていくタイプ。夏に懸ける思いが相当強い。寺田がいるといないでは全然違う」と公式戦復帰登板を果たした左腕の姿に目を細めた。

 昨秋の全道大会で4強入りするも、今春は地区敗退。昨夏も地区代表決定戦で敗れており、夏2年連続地区敗退となれば30年ぶりとなる。屈辱を避けるためにも、次戦・鵡川戦も負けられない戦いとなる。寺田は「やることは変わらない。練習でやっていることを(試合会場の)とましんで出すだけ」。甲子園連覇から20年目の夏。帰ってきた頼もしいエースとともに2007年以来の聖地を目指す。

(島山 知房)

 〇…道大谷室蘭が監督と主将、父子鷹で甲子園を目指した夏は初戦で幕を閉じた。5打数無安打に終わった越後屋快主将(3年)は「1年春から出させてもらった経験を生かせなくて悔しい。(監督の父には)やり切ったので、『自分は頑張ったよ』と伝えたい」と涙をぬぐった。2季連続白星は逃したが、今春に駒大苫小牧から15年ぶりの勝利を挙げた。父・亨監督(47)は「成長しましたし、主将、選手としてよくやってくれた」とねぎらった。

 〇…鵡川は伊達開来に3-2。代打・前田然内野手(3年)が一振りで試合を決めた。同点の8回1死一、三塁から三塁手強襲の適時打。背番号3ながら先発出場を逃した鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように、塁上では指で「V」を描いた。寮生活で寝食をともにしてきた3年生17人中、今夏は4人がベンチを外れた。記録員、ボールパーソンとして同級生が支えてくれる中、「4人のために勝たないといけない試合。打撃で貢献したい」と駒大苫小牧戦への意気込みを口にした。

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