◆米大リーグ オリオールズ22―8レイズ(27日、米メリーランド州ボルティモア=オリオールパークアットカムデンヤーズ)
オリオールズの菅野智之投手が27日(日本時間28日)、本拠地でのレイズ戦に先発して5回を投げ、9安打、7失点、3本塁打ともに渡米後自己ワーストを記録しながら、味方の援護に恵まれ、4試合ぶりの白星となる今季6勝目(4敗)を挙げた。
菅野は2回に3被弾などで0―6とされるが、打線が反撃。
オ軍は今季最多21安打で、1954年などの球団記録に並ぶ史上3度目の22得点。シーズン中間地点となる81試合目を35勝46敗の借金11で折り返した。
最多失点(7)、1イニング最多失点(6)、最多被本塁打(3)、最多被安打(9)。様々な渡米後自己ワースト記録を塗り替えた試合で、菅野が勝った。2回を終わって0―6から、降板後の5回に8―7。ミラクル逆転劇で24日ぶりの白星が転がり込んだ。巨人時代に自己ワースト10失点(対阪神19年5月15日)を含め7失点以上は10度あるが、勝利投手にはなっていない。日本人メジャーでも野茂、松坂、上原の3人だけが記録した7失点勝利に並んだ。
「長い野球人生でおそらく初めて。これだけ点を取られて勝ちがついた」と菅野。2回に痛恨の3被弾などで大差をつけられたが、直近3試合で投げ切れなかった5回を86球でまとめたことで、勝ち投手の権利を手に入れた。
「ベースボールはクレイジーなスポーツ。色んな意味で詩情的(ポエティック)。そういう夜になった」とマンソリーニ暫定監督も興奮を隠せない。菅野個人だけでなく、チームにとっても今季最多21安打、球団史上最多タイの22得点。米国統計分析社「イライアス」によると、0―6から14点差をつけての勝利は、メジャー史上初だという。
今季15試合で1試合最多失点が「4」だった”安定の菅野”が、1イニングでまさかの6失点。今季16被本塁打中12本がソロ被弾だったが、B・ロウには走者2人を置いて初めて3ランを食らった。ダメージを最少に試合をつくることを信条とする菅野が、初めて”炎上”したが、勝負は下駄を履くまで分からない。
3回以降は制球重視を意識して立て直す。
162試合の中間地点の81試合目を終了。開幕から快進撃を続けてきたルーキーも、相手の研究にさらされ始め、力みがフォームにも影響していた。
「低めのスプリットをいいところに投げても振ってくれない。だからこそ、リスク覚悟でゾーン内、見逃してもストライクというところに投げるのが、大事だと思う。しっかりアプローチ出来るかどうかは、力みの部分。ひとつひとつ課題を潰していかなきゃいけないが、潰せるという手応えはありました」。九死に一生を得た勝利で、後半戦に弾みをつけたい。