巨人のファーム選手を特集する「From G」。第10回はドラフト1位の石塚裕惺内野手(19)。

イースタン・リーグ開幕前の3月9日に左手有鉤(ゆうこう)骨を骨折。リハビリ中はG球場坂本、長野、丸らベテランと時間を共有し、5月20日に2軍で実戦復帰した。ここまで25試合に出場し、打率3割1分3厘。将来の正遊撃手として期待されるルーキーが今の思いを明かした。

 2か月半のリハビリを終え、思い切りプレーができる。石塚は喜びをかみ締めている。

 「開幕前にけがをして、どうなってしまうんだろうな、と。トレーナーさん含め周囲の方々が本当に精力的にサポートしてくれたので、感謝の気持ちを持ちながら毎日過ごしています」

 5月7日には阪神戦(東京D)を観戦。試合前練習を見学し、1軍の雰囲気を初体験した。

 「球団は違うけど(阪神の)森下さんの打撃がすごくいいなと感じました。見た試合でホームランを打って、3年目で主力を打っていて勝負強い。僕も勝負強い打者になりたいと思いました」

 ドラフト指名時に掲げた目標は「3割30本」。

少しずつプロの世界を知り、知識や経験を増やしていく中で「100打点」を新たに目標に加えた。巨人の中軸を担う存在になるべく、先輩の背中を追う。

 「(岡本)和真さんも4年目に(3割30本100打点を)打った。(坂本)勇人さんが(打席に)立った時はひときわ歓声が大きい。期待値イコール声援の大きさだと思う。僕もそういう大声援を送ってもらえるような選手になれるように」

 リハビリ期間中は環境をフル活用した。G球場ではファームで調整していた坂本や丸らと過ごす時間に恵まれた。その姿を見て、新しく始めた習慣がある。

 「ベテランほど試合前練習で早くから準備していた。見習っていかないといけないところだと思い、自分も朝からウェートトレーニングをする流れを作るようにしました。試合の日は朝の7時半くらいから30、40分やっています」

 長野からはバットについて助言をもらい、以前のものより25グラム重い895グラムのバットを発注。18日に使い始めてから好調という。

 「軽くて振りやすいバットを選んで使っていたけど、(新しいバットは)先端のくりぬいていた部分をなくしました。長野さんからは『今のバットは年齢を重ねてからでも簡単に扱える。若いうちにしかできないようなそういうバットを(使ってみたら?)』というニュアンスの助言を頂きました」

 リハビリ明けでもあり、体力不足を課題に挙げる。

 「体の疲れはすごく感じます。プロで143試合ずっとレギュラーで出続けるのは本当に大変なこと。僕は2軍で5イニング、7イニングで疲れるので、まだまだ体力強化が必要。そこはこれから養っていきたいです」

 復帰は3軍出場を経ずに2軍戦からだった。若手で異例の待遇は期待の表れだ。

 「結果も大事だけど、投手への声掛けや全力疾走、当たり前の大切な部分を欠かさないように意識しています。試合でも我慢して使ってもらっている。みんなに納得してもらえるように、元気という部分は意識していきたい」

 今季の目標は1軍でHランプをともすこと。ルーキーらしく、エネルギッシュにリスタートを切った。

 ◆石塚 裕惺(いしづか・ゆうせい)2006年4月6日、千葉・八千代市生まれ。19歳。幼稚園年長から勝田ハニーズで野球を始め、佐倉シニアを経て、埼玉・花咲徳栄では1年秋からレギュラーで3年夏の甲子園出場。高校通算26本塁打。U18アジア選手権は日本代表の4番を務め、準優勝。182センチ、84キロ。右投右打。背番号23。

◆今季の石塚

 ▼2月1~25日 2軍でキャンプインし、完走

 ▼3月9日 2軍の阪神戦(Gタウン)でファウルの際に左手有鉤骨骨折

 ▼同13日 都内で「左手有鉤骨鉤骨切除術」。試合復帰まで2~3か月の見込みと発表

 ▼5月17日 故障後初シート打撃。「違和感なくできた」

 ▼同20日 イースタン・楽天戦(森林どり泉)で公式戦デビュー。代打で岸と対戦し、左飛

 ▼同28日 同・ロッテ戦(ロッテ浦和)で公式戦初安打含むマルチ

 ▼6月11日 同・日本ハム戦(Gタウン)で初適時打初打点

 ▼同20日 公式戦初長打となる適時三塁打。

「長打が全然出ないと思われていたので良かった」

 ▼同25日 公式戦初の猛打賞となる4安打と初盗塁、本盗など2盗塁

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