アマ球界の注目選手を紹介する「ドラフト報知」は、ルートインBC・神奈川フューチャードリームスの最速151キロ左腕・冨重英二郎投手を取り上げる。社会人野球チームから出場機会を求め、今年から独立リーグに挑戦する異色の経歴の持ち主。

野球から遠ざかった過去を乗り越え、NPB入りを目指す。

 今年に懸ける思いが、球の威力を強くする。冨重は今季に入って自己最速を更新し、150キロ台の速球を連発している。DeNA・河原スカウトは「ストレートが強い。曲げ球も得意で、直球も若干曲がる。バッターが捉えづらい投手」と評価。独立リーグに彗星(すいせい)のごとく現れた、期待の左腕だ。

 東海大相模、国際武道大を経て、24年に社会人のバイタルネットへ入社したエリート。しかし「思った以上に試合数が少なかった」と登板機会に恵まれず、理想とのギャップに気力を失った。5か月で退社。「もう野球、辞めようかな」。迷っている時にバイタルネットでともにプレーした先輩から「もう1年くらいやってみろよ」と背中を押された。

「それからチームを探して、地元に独立があったのでここに決めました」。試合が多く、コンスタントに投げることのできる独立リーグに進み、再び情熱を取り戻した。

 「やるからには上を目指して」と昨冬はアルバイトもせず練習漬け。体を大きくするため週6日トレーニングを行い、食事量も増やした。冬を乗り越え、今季に入って急成長。体重は7キロ増えて84キロとなり、公式戦で151キロを記録するなど球速も上昇した。「ここで終わりじゃない」。一度は野球を諦めかけた左腕が、地元・神奈川からはい上がる。(北村 優衣)

 ◆冨重 英二郎(とみしげ・えいじろう)2001年6月1日、神奈川・横須賀市生まれ。24歳。東海大相模では3年夏の甲子園でベンチ入り。国際武道大の4年春に全日本大学野球選手権に出場し、2登板。

178センチ、84キロ。左投左打。

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