◆米大リーグ ロイヤルズ9―5ドジャース(28日、米ミズーリ州カンザスシティー=カウフマンスタジアム)

 ドジャース・大谷翔平投手(30)が28日(日本時間29日)、敵地のロイヤルズ戦に「1番・投手、DH」で先発し、メジャー公式戦では自己最速となる101・7マイル(約163・7キロ)をマークした。23年9月に受けた右肘手術後、3度目の登板ながら過去の自分を超え、進化を印象づけた。

復帰後初めて2回のマウンドにも上がり、2回27球で1安打1奪三振無失点と好投。打者では4打数無安打3三振だったが、「剛腕・大谷」が戻ってきた。

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 2度の右肘手術を受けて、7月5日は31歳の誕生日を迎える大谷。ベテランの域に足を踏み入れようとしている中で、これまでのような速球を追い求めた場合は、右肘への負担は間違いなく大きくなる。だが、2月に「けがを恐れてパフォーマンスを落とすということはないと思う。そのために手術したというところもある」と断言していた。高校時代から160キロ超をマークした大谷にとって投球の中心が速球であることは、2度の手術を経て、投手人生がかかっていても変わらない。

 二刀流の大谷だからこそ貫けるこだわりなのかもしれない。「現実的には(右肘手術は)2回くらいまでが投手としては理想なのかなと思っています」と話したことがあったように、今後右肘の状態が悪化した場合には投手断念の道があることも頭にはある。もちろん「長く続けたいという思いはある」というのが本音だが、昨年12月には「(投打)どちらかにせざるを得ないタイミングがもし来たとしたら、どちらにしても対応できる準備というのをしっかりしておく必要があるのかなと思う」とも口にしていた。

 球速にこだわることは、89歳で亡くなった長嶋茂雄さんとの約束でもある。17年に新春対談した際には大谷が「いずれは(当時の世界最速169キロを)出したいと思っています」と宣言。

すると、ミスターから「169キロが出たら、次は170キロと、いつも最高を目指そうという気持ちになれば。プロとして大切なのは、その気持ち」とエールを受けていた。

 2度の手術を受けても信念はぶれず、変わらぬパフォーマンスを見せた。10年にチャプマン(現Rソックス)がマークした史上最速105・8マイル(約170・3キロ)を更新する期待も、まだ持ち続けられそうだ。

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