新日本プロレスに入団した柔道男子100キロ級で2021年東京五輪金メダルのウルフアロン(29)が29日、新日本プロレスの愛知県体育館大会に来場し初めてファンにあいさつした。

 新日本プロレスのTシャツに身を包んだウルフは、会場の「ウルフコール」を背にリングインした。

マイクを持ち「新日本プロレス、プロレスファンのみなさんはじめましてウルフアロンです」とあいさつすると大歓声と拍手に包まれた。

 そして「先日、新日本プロレス入団させていただきました。入団会見直後にこのセルリアンブルーのマットレスの…マットの上で…すみません…」と緊張から言葉を間違えると館内は笑いに包まれた。それでも大きな激励の拍手がわき起こり「マットの上に立てることに感謝しています」と初々しい言葉で初のリングインをかみしめた。

 続けて「新日本プロレスのプロレスラーになることは柔道のオリンピックで優勝するというひとつの夢をかなえた後のもうひとつの僕の夢です」と明かし、来年1・4東京ドームでのデビュー戦へ「この半年間、しっかりと入念に準備を行い次、このマットの上に立つ時には一人前のプロレスラーになって戻ってこられるよう準備していきますので応援のほどよろしくお願いします」と決意表明すると館内は大きな拍手に包まれた。

 今月23日に都内で入団会見を行ったウルフは、すでに世田谷区の新日本プロレス道場で練習を開始しているが大会への来場は初。この日の大会は来年1・4東京ドームで引退する棚橋弘至がプロデュースする「TANAHASHI JAM~至(いたる)」。1964年9月の開館以来、数々の名勝負を刻んできた愛知県体育館での最後のプロレス大会となった。

 伝統の会場のラスト興行がウルフにとってプロレスラーとして初めてファンの前にリングに立つ出発の地となった。

 バックステージで初めてファンの前でリングインした感想をこう打ち明けた。

 「本当に震えました。360度からファンの方に見てもらえて、どんなことを話そうかな?と、すごいいろいろ考えていたんですけど、いざリングに上ってみると本当に震えましたし、一瞬、頭の中が真っ白になりました。

やっぱり、たくさんの方が期待してくれているなと感じましたし、より一層、しっかり準備していきたいなという気持ちが強くなりました」

 ファンの「ウルフコール」には感激した。

 「嬉しいですね。なかなか柔道の試合では、ああいったコールはなかったので、早く試合したいなっていう気持ちになりました」

 緊張から「マット」を「マットレス」と言い間違えたことには苦笑いを浮かべた。

 「どういった気持ちで新日本プロレスのプロレスラーになりたいのか。どういった考え方で半年間、準備していくのかを…初っぱな間違えてしまって、ちょっとやってしまったっていう気持ちがあります」

 第0試合から試合を見つめたがファンだった時とは違う気持ちだった。

 「自分だったらどういうふうにやっていくのか…これからはやる側になるのでそういった見方で今、試合を見ています」

 自分が戦う姿は「想像できたか?」を問われた。

 「まだですね。準備段階としてまだまだ本当、受け身からやっていってる段階なので、ここで戦いたいなという気持ちになりましたが、まだ姿を想像はできてないですね」

 リングにはライオンマークのTシャツに身を包み上がった。

 「一員になれたうれしい気持ちです」

 現在の練習の現状を明かした。

 「柔道のクセみたいなものが体には染みついてしまっているので、そういったものを一回、意識してなくしていかないと。感覚としてあるものなので最終的には感覚でしっかりプロレスの動きができるところまで持っていくことに苦労しています。すべてが課題です。

一歩一歩ゼロから積み上げている段階です」

 グレート―O―カーンが自身のSNSでウルフへデビュー戦で「坊主と黒パンでデビューせんならプロレスラーとして軽蔑する」と書き込んだ。

 「ちょっと検討させていただければと思います」

 初のマイクには反省した。

 「ちょっと修正しなきゃいけないなと感じました。もうちょっとしっかり力強い言葉を、と思ったんですけど、まだ緊張が勝ってしまったので落ち着いて堂々としていきたい。柔道とは別の今まで体験したことない緊張でした」

 今大会に参戦した藤波辰爾と初めてあいさつをかわした。

 「少しご挨拶させてもらって、年齢を聞かれました」

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