◆第107回全国高校野球選手権埼玉大会 ▽4回戦 昌平5x-1花咲徳栄=延長10回タイブレーク=(19日・越谷市民)

 埼玉では、昌平の3番・諏江武尊(たける)二塁手(3年)が延長10回タイブレークで満弾。一昨年夏&昨夏に敗れた宿敵・花咲徳栄にリベンジした。

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 先輩の思いが打球に乗り移った。昌平・諏江の打球は、悲鳴と歓声が交錯する中、左翼席に着弾した。サヨナラのグランドスラムだ。延長10回1死満塁。甘いスライダーを振り抜いた。23年夏の準決勝、そして24年夏の決勝タイブレーク。ともに敗れた花咲徳栄に、三度目の正直で雪辱した。「みんなの『行ってこい!』という声で打てました。みんなの気持ちを背負い切れたのは、自信になります」。3時間20分の死闘に終止符を打ち、胸を張った。

 昨夏決勝に続くタイブレーク。「去年のタイブレークは自分も守備でエラーして、負けてしまって。

今年も同じになったので、運命かと」。昨夏の花咲徳栄戦は途中出場で9回1死、空振り三振に倒れた。「『返してこい』という神のお告げと思った」。1年間の成長を信じて、フルスイングした。

 心身が疲れた時、母・敦子さん(49)が寮に届けてくれる手作りハンバーグが力をくれた。客席で見守った敦子さんも「砕けそうでした」と驚いた劇弾。浦和学院も花咲徳栄も散る中、春夏通じて初の甲子園も夢ではないが、「先を見ず、一戦一戦やっていきます」と諏江。勢いのまま、激戦区の頂点へ駆け上がる。(加藤 弘士)

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