◆第60回関屋記念・G3(7月27日、新潟競馬場・芝1600メートル)
“血は争えない”とはよく言うものだが、セレクトセール会場で実際に見たイクイノックス産駒は、父に似た派手な流星に黒い馬体と遺伝力の強さを感じさせた。そのイクイノックスが現役時代に所属していた木村哲也厩舎のアルセナール(牝4歳、父エピファネイア)も血統の影響力に期待したい1頭だ。
母サンブルエミューズの代表産駒ナミュールは、チューリップ賞で重賞初制覇を決めると、オークス(3着)、秋華賞(2着)でも好走したが、最もクローズアップされる活躍を見せたのは4歳秋以降。23年のマイルCSでG1初制覇を飾り、その後は国内外のG1で2着2回、3着1回と存在感を見せた。
もう1頭の姉ラヴェルも2歳時にアルテミスSを制覇。それ以降は目立った活躍がなかったが、昨年のエリザベス女王杯を12番人気で2着に激走し、続くチャレンジCでは久々の重賞制覇を飾った。この姉2頭の戦績に共通することは、他馬が完成される前の早い時期には、元々の素質の良さで好走。他馬が急激に成長してくる頃に結果が出なくなるが、4歳中盤あたりから成長曲線が上昇に転じ、再び活躍すると考えることができる。
アルセナールはキャリア2戦目で挑んだ昨年のクイーンSで首差の2着。直線で進路が窮屈になる場面がありながら、今年の金鯱賞を勝ち馬で、ヴィクトリアマイル2着のクイーンズウォークと接戦を演じたことからも重賞級のポテンシャルを秘めていることは確か。前走で3勝クラス突破とオープン入りに5戦を要したが、4歳秋に輝きを放った姉2頭に続くように上昇カーブを描く。まずはここで初タイトルといきたいところだ。(浅子 祐貴)