◆第107回全国高校野球選手権神奈川大会 ▽5回戦 横浜4―0藤嶺藤沢(20日・横浜)

 神奈川では、今春センバツ王者・横浜の織田翔希(2年)が今夏初先発。藤嶺藤沢から12三振を奪い1安打完封。

先制二塁打の活躍も見せ、8強進出に貢献した。

 最後までハマスタのマウンドに君臨した。9回2死、横浜・織田は最後の打者を中飛に抑えると、静かに拳を握った。今夏の公式戦初先発で1安打完封の快投。直球も走り、チェンジアップを沈めて12三振を奪った。104球とテンポ良く、藤嶺藤沢の打者を料理した。

 「『この夏、本物になる』『監督を男にする』という思いで今日はマウンドに立ちました。(正捕手の)駒橋さんがしっかりとリードしてくれて、それに沿って自分も思いを乗せて投げることができた。野手の方々が守備でも攻撃でも援護してくださったおかげです」。最初に3年生への感謝を口にするのが、織田らしかった。

 バットでも横高エース道の有資格者になった。0―0の2回2死二塁、藤嶺藤沢の変則サイド左腕・今泉楓(3年)から中堅フェンス直撃の先制二塁打を放った。

今春センバツではVの原動力になったが、打撃は9打数1安打7三振に終わった。「投げるだけじゃ、横浜高校の投手として成り立たない」と織田。愛甲猛、松坂大輔、現在4番を担う奥村頼人ら「打てるエース」の系譜を継ぐ決意を一振りに込めた。「しっかり点を取ってこい」と送り出した村田浩明監督(39)も「当たればすごいですよ。あいつが打つ試合って不思議と勝つんです。センバツ決勝もそうでした」と笑った。

 成長著しい右腕に同校OBの巨人・斉藤スカウトも「バランス良く、力感なく余力を残して投げている。変化球の腕の振りが良くなっている」と目を細めた。「挑戦者の思いでマウンドに立ちたい」と織田。聖地帰還まであと3勝。17歳の夏は誰よりも長く、熱い夏にする。(加藤 弘士)

 ◆織田 翔希(おだ・しょうき)2008年6月3日、北九州市生まれ。

17歳。足立小1年で野球を始め、3年から投手。足立中では軟式野球部。横浜では1年春の県大会からベンチ入り。秋の関東大会準々決勝の東農大二戦で、公式戦初完投初完封。明治神宮大会でも明徳義塾に2安打完封。今春センバツでも奥村頼人との左右二枚看板でVに貢献。185センチ、75キロ。右投右打。

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