◆第107回全国高校野球選手権富山大会 ▽準々決勝 富山北部4―3富山国際大付(21日・高岡西部)

 昨夏準優勝の富山北部は、4―3で富山国際大付を下し、4強入りを決めた。内野守備のミスから失点を重ね、1点を争う接戦となったが、集中力を切らさずに選手全員でカバー。

7回からはエース左腕、船屋侑理(3年)が安定した投球で無安打、無失点に抑えれば、3―3の7回1死三塁では船屋が投前へスクイズ。本塁憤死のタイミングだったが、俊足の6番・川上琉人二塁手(2年)が、一塁送球の間に本塁へ突入し、見事に捕手のタッチをかいくぐった。ミスも多かったが、ベンチから出てきた笹野祐輔監督は明るい表情を浮かべ「あのタイミングは何度も練習しており、よく回り込んでかわしてくれた。守備のミスで追いつかれて不穏な空気も流れたが、粘り強くプレーしてくれました」と選手たちの奮闘をねぎらった。

 昨夏から県内では3季連続で準優勝し、実績を積んできたが慢心は一切なし。笹野監督は「スター選手もいないし、こぢんまりとした学年で力はないです。ベスト4の中で一番弱いのは自分たちだと思う」と話す。この日、投打で奮闘した船屋は「試合を決めたのは自分かもしれないが、勝てたのは、つないでくれたチームのおかげです。(6月に行われた招待試合の)大阪桐蔭戦で打たれ、監督には信用されないと思います」と苦笑い。目立った選手は不在というが、チーム力を武器に勝ち上がってきた。

 24日の準決勝は、高岡商と富山商の勝者と対戦する。「弱いことを自覚したら武器になる。

相手はエリートが集まる学校。春はたまたま富商に勝てたが、自分たちは挑戦者です」と指揮官。相手の強さ、自分たちの弱さを熟知しながら勝機を見いだす。(中田 康博)

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