ドジャース・大谷翔平投手(31)が20日(日本時間21日)、本拠地・ブルワーズ戦に今季100試合目で初めて「2番・DH」で先発し、2戦連発となる34号2ランを放った。だが、DバックスのE・スアレス内野手(34)が2発を放って35発となったため本塁打リーグ2位に転落。

チームは逆転負けを喫して後半戦3連敗スタートとなった。球団史上初のワールドシリーズ2連覇へ向けてターニングポイントとなりそうな一戦を安藤宏太記者が「見た」。

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 最高潮に達した期待が、ため息に変わった。1点を追う9回2死満塁。打席には今季初めて1番に入ったベッツが立ったが、中直に倒れた。ブルワーズには7月の2カードで6戦全敗。ド軍がシーズンで5度以上戦ったチームに全敗を喫するのは、06年カージナルス戦の0勝7敗以来、19年ぶり3度目の屈辱だった。

 スポーツの世界に「たられば」は禁物。ただ最後の場面で、前日までのように「1番・大谷」が打席に立ったら…と想像してしまった。不振が続くベッツは、ぐったりとした表情で「全てにおいてよりよいプレーをしないといけない」と言葉を振り絞った。

 チームの今季100試合目。地区首位とはいえ、ここ12戦で2勝10敗と正念場だ。

大谷、ベッツの1、2番という“聖域”にテコ入れしただけでなく、今後の分岐点になりそうな一戦だった。4、5回に3失策。5回途中3失点で降板となったカーショーはベンチに下がると、帽子とグラブをたたきつけた。試合後には「自分自身にいらだっていただけ」と説明したが、取材を途中で“強制終了”し、野手の緩慢な守備に明らかにいらだっていた。

 追い打ちをかけるように、6回にはフリーマンが左手首死球で交代。検査結果は「打撲」で長期離脱は避けられる見込みだが、負の連鎖が続く。ロバーツ監督も「非常にフラストレーションがたまる」とナインに注文をつけた。

 ただ、ベテランが感情をむき出しにしてナインを鼓舞することは、チーム一丸で加速するチャンスでもある。昨年9月。チームが停滞し、先発の柱グラスノーも離脱。2位パドレスがゲーム差を詰めてくる中、指揮官が緊急ミーティングを開いてカツを入れた。24年の全体ミーティングはこの一度だけだったが、効果てきめんで世界一まで突っ走った。

残りは62試合。ピンチをチャンスに変えるのがド軍の強さでもある。(MLB担当・安藤 宏太)

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