「第19回勝海舟フォーラム2025」が21日、東京・墨田区役所隣接のすみだリバーサイドホールで行われた。墨田区で生まれ育ち、幕末から明治維新にかけて活躍、江戸城を無血開城へと導いた偉人をテーマにした公開勉強会には、会場を埋める約700人が参加。
開会前には、会場前のうるおい広場に建立されている勝海舟像への献花式も行われた。来賓挨拶で、山本亨区長は「遺徳をしのび、私も献花させていただいた。世界で戦争が起き、日本の国内でも国難ともいえる様々な課題がある。勝海舟先生がご存命であればどのような判断をして、どのような人たちと協力しながらこの国を前に進めていくのかと考える」とスピーチ。
主催者の勝海舟顕彰会・廣田健史会長も「勝海舟は平和主義者。今の時代、欧州や中東で想像つかない戦争をしているが、勝先生だったらどう考えるのかとつくづく考える」と話すと、墨田区観光協会の森山育子理事長は「平和を愛し、実際に戦いを嫌い、未来を見つめて行動する先見の明と度胸を持った今の日本に必要なタイプだったのでは」と私見を述べた。
基調講演では、勝海舟の玄孫でライターの髙山みな子氏が「青い目の玄孫きたり」と題し、勝海舟の5代目の子孫らをゲストに招いて公開インタビュー。海舟の三男・梅太郎と結婚した米国人女性、クララ・ホイットニーとの間の子孫であるダグラス・オールデン・スティフラー氏は「勝海舟最大の魅力は時代の流れに逆らう勇気と信念だったのでは」と発言。「現在はシニシズム(冷笑主義)や権威主義を前にし、独裁と戦争の時代が再び始まろうとしている。私たちは今、指導者たちが愚かで信用ならないと正直に声を上げることが必要」と話した上で「これは主に米国の人について言っています」と付け加え、会場の笑いを誘った。
フォーラムには、榎本武揚の曾孫である榎本隆充氏と、土方歳三の兄子孫で土方歳三資料館館長の明星大学・土方愛客員教授も参加。