実業団のサンベルクスとプロランナーとして所属契約を結ぶ吉田響(22)は22日、自身の公式ホームページで、出場を予定していた富士登山競走(25日、山梨・富士吉田市役所~富士山頂)の出場を見送ることを発表した。

 「コンディション不良のため出場を見送ることとなりました。

富士山を駆け上がるこの大会は、自分にとっても特別な存在でした。この日を目指して準備をしてきた中で、あの大きな山を、自分の足で、一歩一歩登っていけることを心から楽しみにしていました。そして何より、全国から集まるたくさんのトレイルランナーの方々と同じ空気を吸い、同じ景色を見ながら走れることが待ち遠しかったです。

それだけに、今回その舞台に立てないことは本当に悔しい思いです」などと心境を記した。

 吉田は創価大4年時に臨んだ今年1月の第101回箱根駅伝「花の2区」(23・1キロ)で日本人最高記録の1時間5分43秒で区間2位と快走した。箱根駅伝終了後、従来の陸上と不整地を走るトレイルランの「二刀流」のプロランナーとなることを宣言。今回で78回目を迎える伝統の富士登山競走にチャレンジする意向を示していた。6月中に富士吉田市役所から5合目までの前半を下見。富士山の山開きとなった1日には5合目から山頂(標高3776メートル)までの後半を2時間弱で登頂していた。準備を重ねていたが、コンディション不良のため、出場を断念した。

 静岡・御殿場市出身の吉田は「物心がついた頃から富士山を見て育ちました」と語るほど、思い入れの強い大会だったが、ゴール地点は標高3700メートルを超える富士山頂で、ゴール後は自力で5合目まで戻らなければならない過酷なレースのため、無理をせずに欠場を決断した。

 今後は秋以降のロードシーズンに向けて練習を行う予定。

「前期シーズンは全国様々な地で走らせてもらい、多くの素晴らしい出会いがありました。レースやイベントを通していただいた言葉や応援に、どれほど励まされたかわかりません。思うようにいかないこともたくさんありましたが、プロランナーとして向き合うべき課題と真剣に向き合えた、大切な半年間だったと感じています。やれることは全部やった。そう胸を張って言えるのは、応援してくださる皆様、支えてくださる企業の皆様のお陰です。心から感謝しています。この悔しさを力に変えて、走りで恩返しできるよう努めて参ります」と吉田は次なる戦いに向けて決意を示した。

 ◆吉田 響(よしだ・ひびき)2002年8月20日、静岡・御殿場市生まれ。22歳。御殿場市立原里中3年時に全国都道府県男子駅伝6区で2位。東海大静岡翔洋高2年時の同駅伝5区で22位。21年、東海大入学。

1年時は箱根駅伝5区2位。23年、創価大3年に編入学した。3年時は出雲駅伝5区区間賞相当、全日本大学駅伝5区区間賞、箱根駅伝5区9位。4年時は出雲駅伝2区区間賞、全日本大学駅伝2区2位、箱根駅伝2区2位。自己ベスト記録は5000メートル13分39秒94、1万メートル28分12秒01、ハーフマラソン1時間1分45秒。161センチ、46キロ。

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