27日に開幕する競泳の世界選手権(シンガポール)を前に、大阪・四條畷学園高2年の大橋信(枚方SS)が、日本水泳界に衝撃を与えた。近畿高校選手権(滋賀)の男子200メートル平泳ぎ決勝で、2分6秒91の世界ジュニア新記録をマーク。
米専門誌「SWIM SWAM」によれば、大橋のタイムは世界選手権代表の深沢大和(東急)、渡辺一平(トヨタ自動車)らを上回り、今季世界1位。昨夏パリ五輪でも、銅メダル相当の好タイムだ。この夏の世界水泳でも泳げば表彰台を狙える実力はあるが、大橋は今回は選考外。3月の代表選考会で2分9秒35の4位に終わっており、上位2人に与えられる代表権を逃していた。
若き実力者が落選し、その後爆発的に飛躍した例は過去にもある。記憶に新しいのは、やはり前高校記録保持者の山口。12年のロンドン五輪選考会、当時の山口は派遣記録を突破しながら北島康介、立石諒に敗れて3位。代表権を逃した。その後は、悔しさを晴らすかのように夏に躍進。一気に2分7秒台まで記録を伸ばすと、五輪後には9月の国体(現国スポ)でついに世界新をマークしてみせた。
同じくロンドン五輪の選考会、瀬戸大也(現TEAM DAIYA)も、400メートル個人メドレーで派遣記録を上回りながら、3位落選。
男子200メートル平泳ぎ、400メートル個人メドレーに共通するのは、日本で代表権を取れば世界のメダル争いができる“お家芸”であるということ。それだけ国内がハイレベルだ。高校生など、落選した伸び盛りの選手が選考会後に代表勢の脅威となる可能性は、十分にある。そしてこの夏は、個人メドレーでも高校生が世界上位のタイムをマークしており、28年ロス五輪を見据えれば、明るい話題が続く。この日、世界選手権に向けて出発した深沢は「大人は大人の力を、見せたいと思います」と言った。若手に負けじと、先輩達の奮闘にも期待したい。(大谷 翔太)