◆JERAセ・リーグ 阪神5―0広島(30日・甲子園)
阪神が2戦連続完封で4連勝とし、優勝へのマジックナンバー「39」をともした。中日が巨人に敗れて自力優勝の可能性が消滅し、球団では2003年、08年に続く7月中の点灯。
超満員の客席から万雷の拍手を浴び、藤川球児監督(45)は柔和な表情で手を振った。タテジマ軍団の地力を象徴するような2試合連続、60年ぶりのシーズン23度目の完封で優勝マジック「39」が点灯。「全く知らなかったですね(笑)。自分たちは必死に戦っていくので、全国のタイガースファンのみなさんにお任せして、盛り上げてほしいなと思います」。2年ぶりの覇権奪回に向け、7月中では球団3度目となるカウントダウンが始まった。
折しも、投打の柱が主役を張った。開幕投手を託した村上が6回5安打無失点の好投でチームトップの9勝目。2回1死満塁を切り抜けるなど、粘投が光った。打っても4番・佐藤輝が4回先頭で右前打を放ち、2死三塁となってから大瀬良の暴投で先制のホームイン。
勝負に徹する選手起用を貫くが、若手の節目を大事にするのが“球児流”だ。遠征中に忙しい合間を縫って百貨店へ。高級ブランド・ベルルッティの財布と革靴を購入し、「監督賞」としてプロ初勝利を挙げた高卒3年目・門別とドラフト1位・伊原、プロ初本塁打の同5年目・高寺の門出を祝った。財布に「稼げる選手になって」、革靴には「ここから力強くプロ野球生活を歩んでいこう」という思いを込めたプレゼント。高寺は「恩返ししたい。もっと稼げるように」と目をぎらつかせる。やる気に満ちた若虎と主力の融合も藤川阪神の強さの秘けつだ。
チーム成績の主要部門は打率、本塁打、得点、盗塁、防御率の5部門で首位。リーグで独占する貯金は今季最多22とし、2位・巨人に11ゲーム差だ。23年の9月14日のチーム最速Vを上回る可能性も十分だが、「道中ですから。自分たちのペースで」と指揮官。