◆米大リーグ パドレス5―0メッツ(30日、米カリフォルニア州サンディエゴ=ペトコパーク)

 パドレスのダルビッシュ有投手(38)が30日(日本時間31日)、本拠のメッツ戦で7回2安打無失点7奪三振で今季初勝利を挙げ、日米通算204勝目で黒田博樹(ドジャースなど)を抜き、日本選手の歴代最多を更新した。日本ハム時代の93勝とメジャー通算111勝で到達。

昨季9月27日の203勝目で王手をかけて以来、307日ぶりの白星だった。

 7回、打者3人で退けてベンチへ向かうダルビッシュに本拠地の満員の観客から総立ちの拍手が送られた。わずか2安打、二塁さえ踏ませず黒田氏を超える日米204勝目。「もちろんうれしいですけど、黒田さんとか野茂(英雄)さんのようなピッチャーではまだない。数字がどうとかじゃなくて、本質的に近づけるように、これからも(精進)していきたいなと思います」と謙虚だった。

 今季は右肘炎症などのため開幕前から負傷者リスト(IL)入り。7月7日のDバックス戦で戦列に復帰も4試合勝ち星がなかった。前回登板では3回1/3で8失点。現状を打破するため腕をサイド気味に下げることを決断した。

 背中を押してくれたのは日米通算201勝の先輩右腕だった。前日29日、クラブハウスに居合わせたパ軍のアドバイザーを務める野茂英雄さんに相談。映像を見てもらった。

「不安があったので、『どう思いますか』と言ったら『ええやん』って言ってくれた。野茂さんが言ってるならイケると。いつも悪い時は悪いって言ってくれる。細かいところも、たくさんアドバイスいただける。本当に感謝してます」と勇気をくれた。

 フォーム修正で変化球がさえ、初回先頭にスライダーで空振り三振。2回にはともに110キロ台のカーブで連続三振。6回2死でビエントスから奪った7つ目の三振はスプリットで、右拳を握って吠(ほ)えた。

 試合後、本拠の電光掲示板には「二百四勝利」と漢字で表示され、祝福された。“勝負服”の義兄・山本KID徳郁さん(享年41)のTシャツ姿で取材対応したダルビッシュ。勝負の秋を前にして復活の手応えをつかみ「日本の皆さんはドジャースに勝ってほしいと思っていると思う。そこを僕たちがひっくり返したいなという気持ちはある」。

昨年も繰り広げられたナ・西地区優勝争いの再現へ静かに闘志を燃やしていた。

 ダルに聞く

 ―今季初勝利。

 「うれしい気持ちはあるが、ここまで何もしていないので、うれしくない部分もあったり複雑。(ILから)帰ってきてから全然、貢献どころか逆効果ぐらいの投球をしていた。1試合だけだけど、いいピッチングができてホッとしている」

 ―誰に感謝の言葉を。

 「自分の根源って両親。生んでくれて育ててくれて、両親が一番ですね。今はずっと妻(聖子さん)も支えてくれてますし。その他にも挙げると本当にキリがない」

ドジャース・大谷「ピッチングを含めて、『今どういう感じだよね』という意見を交換させてもらったりする。それは自分にとっても大きい。節目の勝利はご本人もうれしいと思いますし、家族にとってもうれしい一日じゃないかな」

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