31人がつけた「33」だが、長嶋茂雄監督がFAで加入した江藤智に禅譲した物語にまさるものはないだろう。
第1次政権で「90」だった指揮官が13年ぶりに監督復帰した93年から「3」をふたつ合わせた「33」に。
99年オフ、FA宣言した江藤が広島時代につけていたのが「33」。監督は禅譲を申し出たが、監督を応援する財界のグループが番号にちなんで会の名称を「燦燦(さんさん)会」とするほど定着していただけに実現は難しいとみられていた。
だがミスターの回答は明確だった。「江藤君もいろいろ配慮や遠慮をしていたようだが『33』をつけるなら俺が『3』。別に問題ないじゃない。ロッカーから古い『3』を持ってくればいいだけのこと」
永久欠番となり、もう見られないと思われていた「3」が再び、9252日ぶりに長嶋の背に戻るというドラマを呼び寄せた。