第107回全国高校野球選手権大会(5日から18日間)で、春夏通じて初の甲子園出場を果たす聖隷クリストファーは31日、県庁を訪れ塚本秀綱副知事を表敬訪問した。渋谷海友(かいと)副主将(3年)は、県勢では2023年の浜松開誠館以来となる初出場初勝利を目標に掲げた。

チームは1日の練習後に大阪入りする。

 聖隷クリストファーの渋谷副主将は、胸元の金メダルを輝かせながら力強く語った。「優勝という成績を収めることができたのも、周りの皆さまが応援してくださった結果だと思います。選手権では県代表というプライド、県大会を勝ち抜いたという自信をもって、自分たちらしく全力プレーしていきます」と誓った。

 22年のセンバツ落選、昨夏の県準優勝など、あと一歩の悔しさを経てつかんだ夢舞台だ。今夏の初出場は5校。初出場初優勝なら13年の前橋育英(群馬)以来の快挙となるが「まず1勝。そこから一つずつ勝っていければ」と、地に足を着けている。

 本大会の登録メンバーは個別に伝えられているが、チームとしての発表はまだ。夏の県大会期間中、渋谷は左腕骨折により登録を外れた逢沢開生主将(3年)に代わり、ゲームキャプテンとしてチームに貢献した。7月28日の決勝で静岡を破った後には優勝旗を受け取った。

 大役を任され「よし、やってやるぞ」と気持ちを奮い立たせた。

昨秋から冬にかけては一時、主将を任されていた。「最初は逢沢のように背中で引っ張るタイプを目指したけど、自分はそうじゃないと気づいた」。今春から主将は逢沢に戻ったが、自身の責任感は変わらなかった。仲間に声をかけ、ときに厳しい言葉もぶつけながら、副主将として支えてきた。

 現在は2番手捕手として出番に備える。打撃力を買われ、内野守備に挑戦していたこともある。チームは春の県大会以降、多いときには1日1000スイングの猛練習を行って打力アップに励んだ。渋谷も手のひらにタコができるほどの自主練習を重ねてきた。「ここぞという時に代打で出ることが多い。そこで一本出せるよう準備しています」。憧れ続けた聖地で、自分の役割を全うしてチームを輝かせる。

(伊藤 明日香)

 〇…2年生エース左腕の高部陸は「思い切ったプレーをしていけるように頑張っていきたいです」と誓った。

最速147キロの直球を武器に県大会では30イニングを投げ33奪三振、防御率0.90で優勝の原動力となった。初の甲子園に胸を高鳴らせつつも「3年生の選手が後ろにいると思って、自分はやるだけです」と謙虚に語った。

  〇…上村敏正監督(68)は初優勝後、全国各地から涙ながらの激励電話を多数受けたと明かした。この日は県外での公務で不在だった鈴木康友知事は、浜松市長だった22年にセンバツ選考に対して遺憾の意を表明していた。上村監督は「声を上げて本校を応援してくださる方々の期待に応える機会を与えられた。強豪ぞろいの中でどこまで通用するか分かりませんが、生徒たちには思い切り戦ってきてもらいたい」と語った。

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