◆第107回全国高校野球選手権大会第5日 ▽1回戦 西日本短大付4―3弘前学院聖愛=延長10回タイブレーク=(9日・甲子園)

 執念と形容するにぴったりのプレーだった。西日本短大付・山下が白球に飛びついた。

タイブレークの延長10回、表の攻撃で1点を奪って裏を迎えた。相手の先頭打者のバントが後方への小飛球になる。素早い反応で追いかけ、果敢にダイビングキャッチ。「原(綾汰)を少しでも助けられるように必死にやった結果。練習でもできないプレーができた」と、ここぞの場面でのビッグプレーに聖地が沸いた。

 リードでももり立てた。続く一戸淳弥へは、マウンド上の原に強気に内角直球を要求して見逃し三振に仕留め、最後は丸岡侑太郎に遊ゴロを打たせた。「どうなるか分からなかったけど、最後は勝ちたいという思いが(僕たちの方が)少しでも多かった」。試合が終わった瞬間、緊張の糸をほどいて大きく右手を掲げた。

 「大舞台には強い。持っていると思います」と語った山下。打撃でも4回2死一塁の第2打席で真ん中に入ったチェンジアップを強振。

「打った瞬間いったと思った」と右中間最深部に運ぶ大会第3号の2ランで先取点をもたらした。「芯食った打球が打てたので自信になりました」と高校通算20本目に満足げに笑った。

 同校出身の日本ハム・新庄剛志監督からは「もう目標は甲子園出場じゃない。優勝旗を八女(市)に持って帰ること」とエールを送られていた。扇の要は「目標は日本一」と高らかに宣言し、先輩率いる日本ハムと「アベック優勝をしたい」と意気込んだ。今年は1992年以来、33年ぶりの優勝を必ずつかみ取る。(綾部 健真)

 ◆山下 航輝(やました・こうき)2007年12月17日、福岡・八女市生まれ。17歳。小学2年から野球を始め、黒木中では筑後リバーズでプレー。西日本短大付では2年春からベンチ入り。憧れの選手は吉田正尚。高校通算20本塁打。

170センチ、70キロ。右投左打。

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