◆第107回全国高校野球選手権大会第7日 ▽2回戦 尽誠学園3―0東大阪大柏原(12日・甲子園)

 尽誠学園は23年ぶりに初戦を突破。エースで4番、主将も務める広瀬賢汰(3年)が、完封&2打点と投打に活躍した。

 最後の打者を投ゴロで締めくくり、尽誠学園・広瀬賢汰は3万3000人の歓声を一身に受け止めた。「エースで4番で主将」。今大会参加選手で唯一の一人3役が、投げては9回6安打完封、打っても先制直後の5回に2点適時打。チームを2002年夏以来23年ぶりの甲子園勝利に導き、「たくさん人もいて、楽しかった」と充実の汗を拭った。

 一から自分を磨くため、地元の大阪を離れて香川県の高校に進んだ。中学時代の恩師の母校で、寮生活もできる尽誠学園は理想の場所だった。「中学時代の自分の実力では、全国で勝ち進んでいく大阪のチームで戦える自信がなかった」。低めのスライダーとカーブを決め球に、108球で地元代表の東大阪大柏原打線を翻弄(ほんろう)。「3年間すごく成長させてもらった。ここに来て良かった」。3年前の決断が正しかったことを、結果で証明した。

 香川県内の寮では「癒やし」の存在である秋田犬「コタロー」が待つ。

久しく甲子園での勝利から遠ざかりつつあった11年前から寮に住み、生活をともにしながら寮生の成長を見守ってきたチームの愛犬。主将としてナインをまとめ、投打二刀流の働きも見せた大黒柱は「勝てたって報告したい」と笑みをこぼした。次戦の相手は昨春夏の優勝校同士が対戦する健大高崎―京都国際の勝者。「目標は日本一」と、広瀬に迷いはない。地元代表を破って勢いに乗った“三刀流”が、95年春の観音寺中央以来となる全国の頂点へ、チームを押し上げる。(藤田 芽生)

 ◆広瀬 賢汰(ひろせ・けんた)2007年4月16日、大阪・堺市生まれ。18歳。小1時に野田サザンファイターズでソフトボールを始め、野田中では堺初芝ボーイズで野球に打ち込んだ。尽誠学園では1年秋からベンチ入り。最速は143キロ。持ち球はカーブ、スライダー、チェンジアップ。179センチ、82キロ。

左投左打。

編集部おすすめ