◆第107回全国高校野球選手権大会第7日▽2回戦 山梨学院6―2聖光学院(12日・甲子園)
山梨学院の二刀流2年生・菰田陽生(こもだ・はるき)が、甲子園初先発で6回までノーヒットノーランの快投を披露した。7回途中2安打1失点で降板したものの、初の3回戦進出に貢献した。
規格外の高身長から、力で押しまくった。山梨学院・菰田が投じた80球のうち69球がストレートだった。「少しでも長い回を投げるため、8割くらいの出力でした」。今大会最長身の194センチからの直球は、それでも最速147キロを計測。快記録の夢を見させた。
今夏初先発で、6回まで1四球と味方の2失策による“ノーノー”。7回先頭の4番・竹内啓汰に初安打を許して1死三塁のピンチを招き、適時打で失点後に降板したが、6回1/3を2安打1失点に抑えた。「ここまで投げられたのは、ひとつの成長だと思います」と言ってうなずいた。「高めの真っすぐの威力が想像以上で、とらえたと思ってもファウルになりました」と聖光学院の5番・石沢琉聖は脱帽した。
視察した中日・松永スカウトディレクターは「角度があって球持ちがいいので、打者は差し込まれる。だから、直球中心で抑えることができている」とうなった。
甲子園デビューとなったセンバツ2回戦の西日本短大付戦で、自己最速を6キロ上回る152キロをマークし、注目度は急上昇。その後の鍛錬で体重は3キロ増えて100キロの大台に乗った。体力がつくまで大事に育てる方針のため、先発経験は公式戦、練習試合を合わせて2度ほどあるだけという。それでも、吉田洸二監督(56)は春の背番号「3」から、大きな期待を込めて「1」に昇格させた。救援で3回無安打無失点だったセンバツと合わせれば、甲子園で1試合分の9イニング連続無安打投球を展開した。
初安打を許した直後の1球は、スライダーが抜けてバックネットへの大暴投となった。ベンチの吉田監督も菰田自身も笑っていた。「性格がいいので、ああいうところでも笑ってやれる子」と指揮官。打撃の方では7番打者として3打数無安打に終わり、「マスコミの方は『二刀流(打撃練習)』と書いてくだされば、ありがたい」とユーモアたっぷりに奮起を促した。
3回戦は、初の夏2勝を目指して岡山学芸館と戦う。横浜・織田、沖縄尚学・末吉ら2年生に逸材がそろうこの夏。