◆JERA セ・リーグ 巨人5―0中日(12日・東京ドーム)
追い込まれてから指2本分短く持ったバットをコンパクトに振り抜いた。それでも巨人・岸田行倫捕手(28)の打球は、スタンドへ一直線に伸びていった。
“巨人一”の勝負強さだ。これで得点圏打率3割5分7厘(42打数15安打)はチームトップ。スタメンマスクの際は、11戦連続で5番起用が続いている。阿部監督は「だからこそ5番に入れてますし、ずっといい働きしてくれてるんでね」とたたえた。
同学年左腕を再び、力強く援護した。森田がプロ初先発した6日のヤクルト戦(東京D)は2回に中前安打を放って決勝のホームを踏み、好リードでも初勝利をアシスト。昨年2月の春季キャンプ以来となるバッテリーで、「めっちゃよくなってるな」と感じ取った成長を言葉で伝えた。
今年2月にはキャンプ地の宮崎で船迫、岡本、泉、マルティネスと「96年会」を開催。海鮮居酒屋で野球談議に花を咲かせた。「何しゃべってるか分かんない」と“不思議キャラ”の一面を明かしつつ「絶対に抑えてやろうという気持ちはしっかり前面に出してきてる。ピッチャーらしいです」。投手としては揺るがぬ信頼を寄せている。
これで、本塁打を放てば5戦全勝となった。「長く持ったから飛ぶとか、短くなったら飛ばないという感覚はないです。ホームランバッターじゃないので満足せず、しっかりやっていきたい」。開幕時の“控え捕手”という立場から中軸に定着。森田と同じく遅咲きの28歳は、謙虚に前へ進んでいく。
◆高木豊氏PОint 岸田のホームランは完璧だったね。大野の性格や、配球も読み切ってバットを振ったように見えた。狙ったボールに対して、思い切りよく振れるセンス。あの内角の球をスタンド中段まで運ぶんだから、たいしたものだよ。そして非常に大きな2点だった。守備では、森田をうまくリードしていた。制球力で勝負できる投手ではない、腕を振ってなんぼの投手。気持ちを引き出していたし、腕の振らせ方もうまかった。(スポーツ報知評論家)