◆第107回全国高校野球選手権大会第12日 ▽3回戦 東洋大姫路3―2西日本短大付(17日・甲子園)
エースの風格を漂わせた。逆転して迎えた5回、東洋大姫路の最速147キロ右腕・木下鷹大が、3番から始まる相手打線の攻撃を3者連続三振に斬った。
3回、先発の森皐葵(こうき)が先制点を許し、2死一、二塁でマウンドへ。いきなり左前打で1点を失ったが、冷静さは失わなかった。次打者を右飛で切り抜け、その後は無失点。1、2回戦で計272球を投じ、中1日で臨んだ登板だったが「楽しい気持ちでいっぱい」と102球を投げ抜いた。
今春センバツで敗れた広島商との2回戦に先発し、5回6失点。経験値不足から、走者を置くと焦り、思うような投球ができなかった。県大会、近畿大会では故障の阪下漣に代わって「1」を背負い、優勝。岡田龍生監督(64)は「勝たせてやらないと、投手は自信やプライドは付かないと、30年以上、履正社でやってきて思っていた。竹田(DeNA)もそういう育て方をしてきた」。名将の下、右腕は着実に前進してきた。
「今は走者を置いても自分の投球が出来る。ピンチでは自分の方が抑えられると思っていたので、交代したくなかった。投げ切れて良かった」と木下。エースとしての意地ものぞかせた右腕が、1977年夏以来、48年ぶりの全国制覇まで腕を振り続ける。(瀬川 楓花)