◆第107回全国高校野球選手権大会第14日 ▽準決勝 沖縄尚学5―4山梨学院(21日・甲子園)

 沖縄尚学が初の決勝進出を決めた。4―4の7回、宜野座恵夢の打球が左翼フェンスを直撃。

クッションボールの処理を左翼手が手間取るのを見て、阪神・田中秀太内野守備走塁コーチ(48)の次男で三塁コーチの彪斗(あやと)内野手は大きく腕を回した。三塁へ到達した宜野座は、続く比嘉大登の右前適時打で決勝のホームイン。最大3点差からの逆転劇を支えた田中は「素直にうれしい。(父から)迷ったら回せと言われている」と胸を張った。

 一塁側アルプスには父の姿があった。この日は室内練習場で1軍の指導に当たっていたが、藤川監督から「早く行ってあげてください」と後押しされた。3回裏から声援を送った秀太コーチは「裏方が居るからチームは成り立つ。そういうことを学んでくれていると思うので、沖縄まで行かせて良かった」と目を細めた。

 祖父・久幸さん(06年に死去)は熊本工で65年センバツに出場。後に監督として96年夏の甲子園決勝に導いたが、“奇跡のバックホーム”で松山商(愛媛)に敗れた。父も同校で94年センバツに出場したが、初戦敗退。兄・太晴さん(23)は報徳学園(兵庫)でマネジャーを務めたが、コロナで甲子園が中止となった。

全国制覇は一家の悲願。田中は「出番があればしっかりものにしたい。優勝して、沖縄に帰りたい」と誓った。(瀬川 楓花)

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