◆第107回全国高校野球選手権大会第13日 ▽準々決勝 山梨学院11―4京都国際(19日・甲子園)

 身長194センチの二刀流、山梨学院の2年生・菰田陽生(はるき)がライト正面へ放った打球が、ググッと浮き上がった。4点リードの5回1死満塁。

右打席からストレートを逆方向に打ち返したライナーは異次元の軌道を描き、一瞬前に出た京都国際・倉橋翔の頭上を越えていった。走者一掃の三塁打。得点差を7点に広げ、昨年の決勝で“優勝投手”になった西村一毅を沈めた。

 規格外のパワーを見せつけた菰田は「最初は捕られるかと思ったのですが、越えてよかった。逆方向に長打が出るのが自分の持ち味です」と振り返った。吉田洸二監督(56)は「ライトは責められない。伸びるんですよ、菰田の打球は」と怪物ぶりに舌を巻いた。「リーチがあるので振り幅が出る。だから、もうひと伸びするんです」と説明したのは吉田健人部長(28)だ。

 「7番・投手」で先発し、岡山学芸館との3回戦に続く3安打。投手としては4回途中1失点と満足のいく内容ではなかったが、そのぶん打撃で魅了した。「打った瞬間も走っている最中も、歓声が聞こえた。

『これが夏の甲子園だ!』というものがありました」と、充実感をにじませた。

 3試合で11打数6安打6打点。投げては15回2/3で被安打7、失点2。「二刀流」にふさわしい活躍で、チームを初の4強に導いた。「これからも、観客の方々に感動や成長する姿を見せていきたい。優勝して山梨学院の名前を日本全国に残したい」。県勢初の決勝進出へ。聖地で戦うごとに輝きを増す16歳は、大きな夢を抱いて沖縄尚学との準決勝に挑む。(浜木 俊介)

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