◆第107回全国高校野球選手権大会第12日 ▽3回戦 横浜5―0津田学園(17日・甲子園)

 今春センバツ王者の横浜(神奈川)が津田学園(三重)に5―0で勝利し、2008年以来17年ぶりに8強入りした。最速152キロの2年生右腕・織田翔希は、食あたりで万全ではない中、先発を志願して5安打完封。

横浜投手による甲子園1大会複数完封勝利は、98年春夏の松坂大輔以来2人目で、下級生では初の快挙となった。織田は初戦から23回2/3連続無失点。松坂以来の春夏連覇まであと3勝とし、19日の準々決勝は県岐阜商と対戦する。

 2年前の8月。横浜・村田監督の精神状態はどん底にあった。夏の神奈川大会決勝・慶応戦では2点リードの9回、3ランを被弾。逆転負けで甲子園行きを逃した。心身を整えるため、家族で九州へ旅行した。

 すると福岡で中学教師を務める日体大の先輩から、こんな連絡があった。「織田という好投手が北九州にいるんだ。進路は決まっていない。視察に来ないか」

 織田がプレーする足立中軟式野球部は部員13人。

織田はすでに143キロを計測。全国大会に出場するなど、地元では名の知られた存在だった。織田は村田監督との初対面を鮮明に覚えている。「ずっと笑顔で、熱い人で。この人の下でやりたいと、横浜へ見学に行くことを決めたんです」

 もしあの夏、慶応に勝って甲子園に出ていたら―。「織田とは出会っていません。何かの縁ですよね」と村田監督。運命で結ばれた師弟の物語は、さらに続いていく。(加藤 弘士)

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