甲子園名門校の歴代ベストナイン~東洋大姫路編

 8月5日から始まった第107回全国高等学校野球選手権大会。連日、熱い戦いが繰り広げられているが、この夏の出場校のなかから、これまで甲子園で数々の名勝負を繰り広げ、多くの名プレーヤーを輩出した名門校の「歴代ベストナイン」を、40年以上にわたり現場取材を続ける戸田道男氏に選出してもらった。

 1977年夏の「決勝サヨナラ本塁打」による全国制覇をはじめ、激戦区・兵庫を代表する名門として長く高校野球史に名を刻んできた東洋大姫路。時代を超えて多くのスター選手を輩出してきた伝統校の歩みを振り返りつつ、「歴代ベストナイン」を選び出してみたい。

東洋大姫路 歴代ベストナイン

1 (遊)弓岡敬二郎
2 (中)岩田幸宏
3 (左)藤田明彦
4 (三)田中泰
5 (一)金谷晋吾
6 (捕)安井浩二
7 (右)前川直哉
8 (二)林崎遼
9 (投)長谷川滋利

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【高校卒業後の実績はダントツ】

 梅谷馨監督(故人)の厳しい指導のもと、1960年代後半から激戦区の兵庫で頭角を現した東洋大姫路は、70年代から80年代にかけて全盛期を迎える。

 1977年夏には夏の甲子園史上唯一の決勝戦サヨナラ本塁打で全国制覇。梅谷監督退任後も、教え子の藤田明彦監督らが率いてしばしば春夏の甲子園で上位進出。2022年にはOBで履正社を全国制覇に導いた岡田龍生氏を監督に招き、令和のいま、新たな黄金時代到来を目論んでいる。

 1969年夏の甲子園初出場から約半世紀。甲子園を沸かせた数々の名選手たちを中心に、昭和から平成にかけての豪華メンバーで歴代ベストナインを選んでみたい。

 まず、ピッチャーは、1977年夏の優勝投手・松本正志(元阪急)に託したいところだが、何と言っても、プロ入り後の伸び悩みが惜しまれる。ここは1986年夏ベスト8のエースで、MLB通算45勝33セーブの長谷川滋利を起用しよう。

 立命館大からオリックスを経て海を渡った長谷川は、頭脳的な投球で強打者たちを抑え、メジャーで9年間にわたって活躍した。高校卒業後の実績は頭ひとつ抜けてナンバーワンと言える。

 ブルペンで腕を撫すのは、松本の控え投手だった宮本賢治(元ヤクルト)、84年夏、85年春夏に甲子園出場のエースで、秋の近畿大会でKK擁するPL学園を完封した豊田次郎(元オリックス)、長谷川の控えだった大型右腕・嶋尾康史(元阪神ほか)、2003年春に主将兼エースで4強入りしたグエン・トラン・フォク・アン、2006年夏8強の左腕・乾貴大(元日本ハムほか)、2008年春4強のエース・佐藤翔太、その同期で高校時代はおもに外野手だった松葉貴大(中日)、2011年夏8強の原樹理(ヤクルト)、甲子園出場はなかったが東洋大を経てドラフト1位でプロ入りした甲斐野央(西武)などがずらり。

かなり強力な投手陣が出来上がりそうだ。

【夏の甲子園2025】東洋大姫路、歴代ベストナイン! エースはメジャーリーガー、4番は長嶋茂雄が認めた強打者
2006年夏の甲子園で駒大苫小牧の田中将大から本塁打を放った林崎遼 photo by Sankei Visual

【不動の遊撃手は阪急で活躍した天才】

 キャッチャーは、1977年夏決勝の東邦戦で劇的なサヨナラ3ランを放って初優勝をもたらした安井浩二で決まり。

 ファーストは、2000年春に秋田経法大付・攝津正(元ソフトバンク)から豪快な本塁打を放った金谷晋吾のパワーにかける。

 さらに、1974年夏に1年生で出場、76年春4強にも貢献した天才・弓岡敬二郎(元阪急)はもちろん不動のショート。高校時代はショートで2006年夏に駒大苫小牧・田中将大(巨人)から本塁打を放った林崎遼(元西武)にはセカンドに回ってもらおう。

 また、サードは、1982年夏4強の主砲で、当時巨人監督を退任し、浪人中の長嶋茂雄がテレビで見て絶賛したと言われる田中泰は外せない。

 外野手は、前監督で1973年夏、74年夏の甲子園で活躍した藤田明彦、2003年春4強の4番打者・前川直哉に加え、現役NPBプレーヤーの岩田幸宏(ヤクルト)を抜擢。上位から下位まで隙のない、楽しみな打線になりそうだ。

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