◆第107回全国高校野球選手権大会第10日 ▽2回戦 県岐阜商4―3東海大熊本星翔(15日・甲子園)

 16強が出そろった。県岐阜商は東海大熊本星翔との接戦を制し、公立校で唯一の3回戦進出を果たした。

  * * *

 生まれつき左手の指が欠損しているというハンデを持つ県岐阜商の横山温大(はると)が、2安打を放った日大山形との1回戦に続き甲子園を沸かせ、3回戦進出に貢献した。同点の8回に勝ち越して、4強入りした09年以来の夏2勝。「チームの状態は、どんどん上がっている」と手応えを口にした。

 まず2回の第1打席で変化球を右前に運び、ファンの拍手を浴びた。さらに1点リードの6回無死一塁からの第3打席。右手でバットを握って左打席に入ると、左手を添えて見事に投前への犠打を決め「練習してきたので、自信を持ってやりました。打つ時は左手で押し込む。バントの時は受け止める感覚です」と胸を張った。藤井潤作監督(53)は「彼は何でもできる。本当によくやってくれています」とたたえた。

 右翼での守りでも見せ場があった。5回1死二塁から右前打を右手にはめたグラブで捕球すると、素早くグラブを外して右投げでバックホーム。

「握り替えはうまくいったのですが、送球が抜けてしまいました」。惜しくも三塁方向にそれて生還を許したが、動きには全く無駄がなかった。

 アルプス席で見守る父・直樹さん(49)の「ただ、楽しんでやってもらえれば」という願いに応えるような甲子園のナイターでの躍動。横山は「(ナイターは)初めてなので、新鮮な感覚。とても楽しかったです」と笑顔を見せた。(浜木 俊介)

 ▼逆転勝利2度は78年ぶり 県岐阜商が2試合連続逆転勝利。春夏の甲子園で2勝以上は、通算26度目。逆転勝ちを2度以上は

35年春(4勝V) 3度

36年夏(5勝V) 3度

39年春(3勝準V)2度

47年夏(3勝準V)2度

 に次ぎ、78年ぶり5度目。2試合連続も5度目だが、初戦から2戦連続は初めて。

編集部おすすめ