◆第107回全国高校野球選手権第14日 ▽準決勝 日大三4―2県岐阜商(21日・甲子園)

 親子3代の夢をかなえた。県岐阜商の4番・坂口路歩(ろあ)には強力な応援団がいた。

三塁側アルプスから見守るのは、同校OBの祖父・清貴さん(74)と父・輝光さん(43)。清貴さんは1969年のセンバツに背番号10でマウンドに立ったが、2人とも夏の甲子園ではプレーできずに高校野球を終えている。輝光さんは「伝統校の4番は重圧もすごいと思うけど、4番としての仕事をしてくれた」と、2安打1打点の息子をたたえた。

 岐阜市内でTシャツなどのプリント加工会社を経営する輝光さんは「常に仕事で、中学は1度も試合を見に行ったことがない」と多忙な日々。最後の夏はなんとか仕事の都合をつけて、応援に駆けつけた。5月に愛息が死球を受けて左腕を骨折すると、酸素カプセルを自宅に設置。岐阜大会前の復帰に導いた。坂口は「父が練習環境を整えてくれたおかげでここまでこられた」と感謝を口にした。

 坂口は卒業後、米国の大学へ進学予定という。「大学に行ってプロを目指すよりも、俺は早く親父と仕事がしたいと言ってくれた」と輝光さん。甲子園で一皮むけた主砲は、新たなステージでも輝く。(藤田 芽生)

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