◆米大リーグ ロッキーズ8―3ドジャース(20日、米コロラド州デンバー=クアーズフィールド)

 大谷は“クアーズフィールドあるある”の投球だった。私も当地で投げたことがあるが、気圧のせいかスライダー系は横の曲がりがいつもより弱くなる。

回転がほどける感じ。逆に縦の変化は落ちが良くなり、直球は吹きあがる。ロッキーズは若手主体で、1、2の3で打つ直球系に強い打者が多いから、あえてその勝負を避けたのかもしれない。この日はスライダー系が投球の53%を占めたが、直球やスプリットの方が打ち取れたかもしれない。

 5失点の結果を見れば、二刀流復帰後10試合で最悪かもしれないが、決して調子が悪そうには見えなかった。私は2013年にロ軍傘下3Aコロラドスプリングス(デンバーと標高が変わらない)に在籍していたが「ここでは防御率は4点台でもすごい投手だから。普通の球場より1~1・5点は上乗せしてOK」と首脳陣から言われたことがある。それぐらいの球場だから、悲観する必要などない。

 打者として初回先頭で二塁打を放って出塁もした。これも“あるある”だが、息が上がっていたのでは。さすがの大谷も、もし当地が本拠なら、二刀流は苦労すると思う。この日は予定の5回を投げられなかったが、プレーオフに向けて順調に調整できていると思う。

(野球評論家・髙橋 尚成)

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