11月の明治神宮野球大会につながる北海道六大学野球秋季リーグ戦が23日、苫小牧・とましんスタジアムで開幕する。前身の苫小牧駒大時代に春秋合わせて3度のリーグ優勝を果たし、日本ハム・伊藤大海投手(27)の母校でもある北洋大は、今秋限りでの休部が決まっている。

選手は2~4年の3学年で13人。投手が野手、野手が投手を担うなど総力戦の状況でも、最後に足跡を残してみせる。

 最終章が幕を開ける。1999年春に入れ替え戦を制して昇格以降、1部で上位争いを繰り広げてきた北洋大。深井聡輔主将(4年)は「人数が少ない分、けがをしてはいけないとか重圧が多かった。野球本来の楽しさを思い出して、そういった鬱憤(うっぷん)を晴らしたい」と腕をまくった。

 苫小牧駒大時代には春秋合わせてリーグ戦で3度の優勝。18年全日本大学選手権では全国初勝利も手にした。20年秋には伊藤がドラフト1位指名の快挙を成し遂げた一方、学生数は年々減少し、21年4月に北洋大に校名変更。部員数も減少しており、今年の年明けに休部の方針が現役部員に伝えられた。

 春季リーグ戦は14人で戦い4位。その後、海外留学中で不在だった部員が帰国したものの、就職活動などで2人が戦列を離れた。

春以降、さらに退部を検討する部員もいたが、深井主将は「大好きな野球がどういった存在なのか、もう一度思い出して終わろうという話をした」。一人一人に思いを伝えて人数を確保し、13人で最後の秋を迎えることになった。

 社会人野球の名門・たくぎんで監督を務め、創部時から指揮を執る大滝敏之監督(71)にとっても、指導者として一区切りのシーズンとなる。右手首のけんしょう炎で指が肩につかないなど満身創痍の状態でもノックを打ち続け、「もう体中ガタガタですよ」と苦笑い。それでも、「元気で明るく、礼節を重んじてチームワークを大切にし、我慢、粘り強さを基本にやってきた。そういった姿を最後に見せたいですね」。粘り強さは気迫から―。指揮官が大切にするモットーを胸に、最後まで全力で戦い抜く。(島山 知房)

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