◆JERA セ・リーグ 巨人8―1DeNA(22日・東京ドーム)

 復活の一打で巨人打線に火をつけた。1点リードの6回2死、吉川は内角カットボールを強振。

鋭いゴロは一塁手に好捕されたが、ベースカバーに入ったジャクソンより一足早く、一塁ベースを駆け抜けた。7月27日の広島戦(マツダ)以来、26日ぶりの1軍復帰後初安打に「打てたことはよかったですけど、チームが勝ったことが一番うれしい」。続く中山の3球目に「1点でも多く取るために」と二盗も決めた。吉川の一打を足がかりに、この回一挙4得点。試合を決めた。

 驚異的な回復力だ。腰痛で7月31日に登録抹消されたが、G球場で前向きにリハビリに励んだ。「できることをやりながら」と、今月7日に打撃練習を再開。「トレーナーの方に感謝しながらいいプレーできるように頑張りたい」。当初の1軍復帰目標だった9月上旬より半月も早く、東京Dへ戻ってきた。

 今だから明かせる“秘話”がある。リーグ優勝を決めた昨年9月28日・広島戦(マツダ)の初回、二塁走者としてヘッドスライディングで帰塁してけん制死。

同26日のDeNA戦(横浜)で投球をよけて転倒し、違和感を覚えた左脇腹が悲鳴を上げた。「ろっ骨が『ボキッ』って。終わったと思いました」。骨折の痛みを自覚した状況で4安打。「ビールかけまでは」とV奪還の立役者として美酒に酔いしれた。深夜は痛みで「一睡もできなかった」と翌29日、午前6時に広島発の始発の新幹線で帰京。裏を返せば、アドレナリンで骨折の痛みをも打ち消す鉄人は「僕、痛みにはマジで強いですから」と笑った。

 チームは試合前まで今季6戦で防御率1・95に封じられていたジャクソンを打ち崩し、3カード連続で初戦を先勝だ。「勝ったことが全てです。一生懸命、チームに貢献できるように頑張ります」と決意を新たに戻ってきた背番号2が、岡本とともに打線の中軸を担う。(内田 拓希)

 ◆高橋由伸Point 岡本が帰ってきたことで、再び課題となるのが5番打者だ。吉川が復帰すればもちろん、一番の適任者だろう。

4番が歩かされても、続く尚輝で動くことができるし、チャンスメイクも可能。相手は一番嫌がる。スイングを見た感じ、振れているし、けがの不安もなさそうだ。現状、1番の泉口と3番・丸は動かしたくない。6、7番の中山とリチャードも状態が良く、この日4四球の中山は打ちたい意欲が強い中で我慢できている点が好印象だ。リチャードも見ての通り、流れを一変させる。なおさら5番の役割が重要で、打線がつながるためのカギになる。(スポーツ報知評論家)

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