第107回全国高校野球選手権大会は23日午前10時から甲子園で決勝が行われ、初優勝を目指す沖縄尚学と、2011年以来14年ぶり3度目の優勝を狙う日大三(西東京)が激突する。最速150キロ左腕・末吉良丞(りょうすけ、2年)、最速146キロ右腕・新垣有絃(ゆいと、2年)の投手力で勝ち上がった「盾」の沖縄尚学か、今大会最多2本塁打の4番・田中諒内野手(2年)を擁し、強打で知られる「矛」の日大三か。

両校は22日、関西圏で最終調整。夏のドラマは最終章を迎える。

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 止めどなく汗が噴き出る。決勝を翌日に控えた全体練習。真夏の太陽の下、田中諒は一心不乱にバットを振り、快音を響かせた。フリー打撃では沖縄尚学の末吉、新垣有を想定して左右の打撃投手と対峙(たいじ)。サク越えを放ち、好調ぶりがうかがえた。

 「いい感覚で振れている。後は結果を出すだけです」。相手の左右二枚看板は同じ2年生だ。「意識はするんですが、自分のやることをしっかりやること」。チームを勝利に導く一振りへ、闘志をたぎらせた。

 01年夏には当時の大会新記録となるチーム打率4割2分7厘で優勝するなど、伝統ある“強打の三高”。2年生では坂倉将吾(現広島)以来となる4番を担い、今大会はキングとなる2発を放った。昨春の低反発バット導入後、初の1大会複数本塁打。「5打席回ってきたら、5安打を打つ。ここぞという場面で1本出るというのが4番だと思う」。好投手こそ燃える。仕留めるイメージはできている。

 三木有造監督(51)の指導理念は「ガッツ・気合・根性」。田中諒もそれこそが三高野球の神髄だと断言する。「自分たちがここまでやってきたのは『ガッツ・気合・根性』があったから。決勝も胸に刻み込んでやっていきたい」。決勝では勝利への執念が強い方に栄冠が輝く。

だから気持ちで負けないように立ち向かう。

 三木監督もナインに「思う存分、暴れてほしい」と期待した。「バットをしっかり振って勝ちたい」と田中諒。いざ決戦。時は来た。それだけだ。(加藤 弘士)

 ◆田中 諒(たなか・りょう)2008年11月6日、東京都生まれ。16歳。小1から深川ジャイアンツで野球を始め、小6でジャイアンツジュニアに選出。晴海中では東京玉川シニアに所属し捕手。日大三では1年秋に初ベンチ入り。高校通算20本。

柔道初段。好きな言葉は「練習はウソをつかない」。180センチ、92キロ。右投右打。

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