◆JERA セ・リーグ 巨人8―1DeNA(22日・東京ドーム)

 巨人・岡本和真内野手(29)が、左肘靱帯(じんたい)損傷から復帰後初本塁打を放った。DeNA戦の3回にジャクソンから左中間へ、復帰6戦24打席目、5月1日の広島戦(東京D)以来となる先制9号ソロ。

6回には腰痛から再昇格即「5番・二塁」で出場した吉川尚輝内野手(30)の安打から4点を追加した。5回無失点の横川凱投手(24)は今季初勝利。直接対決3連戦初戦を制し、3位・DeNAとのゲーム差を2・5に広げた。

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 岡本の左腕はたくましくなっていた。負傷から約2か月後の7月8日。「けがして左腕は2センチくらい一時細くなったけど、今はけが前よりも1センチくらいは太くなってる」。G球場で患部を見ながら言った。

 復活へ大前提となるテーマを設定した。「肘を治療しながらじゃないと試合に出られないではだめ。手を加えなくても続けて野球ができるように」。固定期間を終えてからは可動域を取り戻しながら、弱った筋肉一つ一つを刺激した。ボールを握ったり、チューブを動かすなどしながら筋肉の連動性を上げる動作を繰り返した。

あらゆる状況を想定し、水が入ったボールを利用して瞬間的に負荷をかけるエクサイズも実施。一日のメニューは20種類以上にも及んだ。「気、狂いそうになるよ、ほんまに」。そうこぼしたのは6月中旬。それでも妥協なく、地道に地道に向き合い続けた。

 もう一つ、自らに課したのは「フィジカルを一段階上げて戻る」こと。「ムキムキに変わるで」。患部以外のトレーニングも徹底した。スクワットなどで下半身や体幹をいじめ抜いた。リハビリと合わせると1日に4時間以上、トレーニングルームにこもることもあった。106キロの体重は変わらないが、筋肉量は増加。スケールアップして戻りたかった。

 「不安はありますよ」とこぼしたのは、本格的に打撃練習を再開して実戦を視界に捉えた時。順調に段階を踏んできても、試合が迫ると一抹の心配があった。再発への不安より、初のシーズン中の長期離脱で感覚を取り戻せるかどうかへの心配だった。

 ただ、試合になれば自然と吹っ切れた。約3か月ぶりに実戦復帰した8月3日、「やっぱり楽しかった」と笑った。当たり前にプレーできる喜びや楽しみを思い出した。勝負の世界に戻り、心は躍った。「戻っても戦力にならないと意味がない」。この3か月間、何度も聞いた言葉だ。この舞台での活躍を見据えてやってきた。苦難を乗り越えて生まれた復活アーチは必然だった。(岡本番・宮内 孝太)

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